北朝鮮が10月に発射するだろうと思われていた長距離弾道ミサイルを抑止したのは、9月に成立した安保法制によるものだとする解説です。今まで世界中の制止を無視してミサイル発射してきた北朝鮮だが、ここにきてそれを中止したのは日本の集団的自衛権行使を含む安保法制の成立だというのだ。
紆余曲折はありながらも、この北朝鮮情勢を念頭に入れて法案成立を9月中に成し遂げたとすれば、確かにつじつまは合う。戦争抑止法であったと証明されたわけだ。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第208号 を転載

我、抑止ニ成功セリ!

北朝鮮は遂に長距離弾道弾を発射出来なかった。一部報道では中国が制止した為だとされるが、今までいつも中国の反対を押し切って長距離弾道弾を発射してきたのが北朝鮮であったのを思い起こせば、この報道は媚中派の提灯記事に過ぎないと直ぐに分かる。

本メルマガ7月23日号「抑止失敗の教訓」で、今まで日米が北朝鮮の長距離弾道弾の発射を抑止できなかった原因が、日本の「集団的自衛権を行使できない」とする憲法解釈にあることを詳述した。
http://melma.com/backnumber_190875_6239130/

さすれば今回の不発が、先月成立した安保法制による抑止効果であるのは火を見るよりも明らかだ。左翼はこれを戦争法案と呼び反対の大合唱であったが、実の所「戦争法案」ではなく戦争抑止法であったと早速証明された訳だ。

安保法成立の効果は米国の対中戦略の変化にも顕われている。米海軍は南シナ海に中国が建設した人工島周辺に艦艇・航空機を派遣する計画をオバマ大統領に提示した。この計画は5月にも提示されており、その時は却下された。

一旦却下された計画がなぜ10月に再提示されたのか?といえば9月に安保法が成立し米国が日本の助力を期待できる状況になったために他ならない。つまり安保法が米国の対中政策を妥協から抑止に変化させたのである。

計画は大統領の承認待ちだが、もし実行されれば中国は人工島を放棄するしか道はなくなる。中国共産党は今頃ホワイトハウスに電話して、「建設を今すぐ中止するから計画の実行だけは見送ってくれ」と泣きを入れているに違いない。

 
 


軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)

鍛冶俊樹

1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、論文「日本の安全保障の現在と未来」が第1回読売論壇新人賞佳作入選。現在、日経ビジネス・オンライン、日本文化チャンネル桜等、幅広く活動。

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