日本と国境を接する台湾。尖閣諸島とその周辺海域を抱える日本は当然ながら台湾の政治動向に強い関心を抱く。
台湾の総統(大統領)は三権分立の上に位置するため、その国内における存在感は絶大だ。戦後一貫してアメリカの保護下にあるとはいえ、完璧な指揮下にあるとは考えにくく、油断できない。「大陸の人民解放軍に台湾を攻撃させることすらあり得る」と李登輝元総統が懸念するように、馬英九現総統は支持率が低いとはいえその地位にいる限り大きな権限を持ち続ける。
年明けに総統選挙を迎え、5月に次期総統と交代する4ヶ月の間に不測の事態が起こらないよう、日米が連携する政治工作も必要だろう。こうした状況を踏まえても、やはり集団的自衛権を含む安保法案成立は正しかったのだ。
フォーカス台湾 2015/09/23 より転載
李登輝氏、「中国国民党は“台湾国民党”への転換必要」
(台北 23日 中央社)李登輝元総統は22日、ラジオ番組に出演し、来年1月に行われる総統選挙と立法委員(国会議員)選挙では与党・中国国民党が大敗するとした上で、党勢を立て直すには、台湾の主体性を重視する本土派を中心とした“台湾国民党”に生まれ変わらなければならないと述べた。台湾の複数メディアが報じた。
李氏は選挙後、国民党本土派のリーダー格にあたる王金平・立法院長(国会議長)に党を率いてほしいと期待を示した。
また、総統選から新総統が就任する来年5月までの約4カ月間の馬英九総統の動きを懸念。両岸(台湾と中国大陸)平和取り決めの締結にとどまらず、大陸の人民解放軍に台湾を攻撃させることすらあり得るとして、対策の必要性を強調した。
李氏は、米ワシントンで25日に開かれるオバマ大統領と中国大陸の習近平氏との会談にも言及。習氏が台湾の新しい総統に圧力をかけるよう求め、米国が受け入れるような事態になれば、台湾にとって大きな問題となると危機感を表明した。
(呂欣ケイ/編集:杉野浩司)