メディアが作り出す印象操作も経済市場には通じなくなったようだ。
いつもながら鍛冶俊樹さんの解説はとてもわかりやすい。
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル第183号 を転載

日米vs中欧

中国が提唱するAIIB(アジアインフラ投資銀行)構想に欧州各国を含め50か国が参加を表明したが、日本と米国は今の所、参加を表明していない。マスコミは早速「日米が孤立」などと危機感を煽っているが、経済力1位の米国と3位の日本が連携している限り、孤立などあり得ない。

この問題は純粋な経済問題ではなく、経済安全保障の問題である。アジアインフラ投資などと聞くと、中国がアジアの経済基盤の健全な育成を目指しているかに聞こえようが、国内経済の健全育成も出来ない中国にそんな事が出来る訳もない。

経済評論家はその真意について様々な憶測を巡らせているが、中国共産党に善意などある筈もなく、常にその真意は拡張主義であり経済拡張の裏には常に軍事進出が伴う。これは中国が経済進出した国々には必ず中国人民解放軍の影がある事から明らかだ。

さて、そんな中国の拡張主義的野心に欧州が乗った訳だが、実はこうして出来上がる日米対中欧の構図は勢力均衡のモデルとして日本にとって悪いものではない。1960年代、日本が米国との安保条約を改定し日米が連携を強め、一方フランスが中国を承認し、欧州が中国に接近したとき、日本は鼓腹撃壌の高度経済成長を成し遂げた。

1970年代、米国が中国に接近し、日本も「バスに乗り遅れるな」とばかりに慌てて中国と国交を結んだが、その時代、日本も米国もそして世界全体が経済不況のどん底に至った。そして1990年代、日本と米国が共に中国に接近したが、平成大不況となった事は御記憶の方も多かろう。

つまり日米が揃って中国になびくと、国際情勢の均衡が崩れ不安定な状況が現出するのである。安倍総理がAIIBに慎重な姿勢を示してから日本の平均株価は上昇し、今朝は2万円を超えた。

市場関係者はマスコミの主張などまるで信じていないのであろう。

 


軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)

鍛冶俊樹

1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、論文「日本の安全保障の現在と未来」が第1回読売論壇新人賞佳作入選。現在、日経ビジネス・オンライン、日本文化チャンネル桜等、幅広く活動。

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