安倍首相の靖国参拝に対して相変わらず中韓の政治的挙動はヒステリックだ。アメリカまでが相乗りしている。
長年中国を研究してきた評論家の黄文雄さんは戦前の日本に対する評価において、「中国や戦後学者のいうことは、その意味を逆観視すれば、だいたい正しくなる」といいます。多くの学者があらゆることを言うが、これほど簡潔明瞭に分かりやすい指標はない。中国研究の重鎮である宮崎正弘さんもそうだ。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年12月28日通巻第4102号 を転載
在米中国メディア「靖国参拝は毛沢東120年祭を転覆させる報復計画」「歴史を前向きに評価できない石頭、日本は永遠に被告席に座るだろう」と
安倍首相の靖国神社参拝直前の在日華字紙は日中冷却を冷静に分析して、こう言っていた。
「日本と中国、韓国との厳冬期はさらに継続されるだろう」(『文わい報』の日本語版「半月文摘」、12月25日号)。
つづけて同誌は「防空識別圏は既成事実であり、安倍は対話の窓口はオープンといいながらもアジアの支持を拡大しようとしたが、国際的な支持を得られず企ては失敗した」
この報道には何一つ客観的事実がなく、中国宣伝部のアジビラのコピィである。
『陽光導報』は12月19日号に書いていた。
「日本のアセアンへの資金支援は中国への挑戦である」と。
記事を読むと、まるでアセアンは中国の家来で、アセアンは中国圏なのだから、日本は介入するなとでも言いたげ。
「日本はアセアンの関心をカネで買おうとしている。しかしアセアン首脳らは安倍の呼びかけに、敏感な反応を示さなかった」そうな。
事実は逆であることを我々は知っているが、日本にいて目の前でおきた結果さえ、華字紙はさかさまに伝える特徴がある。
そして首相の靖国神社参拝直後に、在米華字紙の「多維新聞網」(12月26日)は殆ど抱腹絶倒の記事を配信した。
曰く。「安倍首相は小泉首相以来、はじめて靖国神社という鬼がいるところを参拝したが、これはタイミング的に毛沢東120年祭に合わせての報復であり、絶対に中国は容認できない。安倍は歴史を前向きに評価できない石頭であり、日本は永遠に歴史の被告席に座るだろう」
ほかの華字紙もおおまかに同一基調で凄まじい罵詈雑言を並べた。
とりわけ次の言いがかりは歴史認識の錯誤を象徴している。
「毛沢東の生誕120年の記念日を狙っての参拝は、1938年に人民の抗日戦線が苦境に陥った際に毛沢東が『持久戦論』を主張したことを想起させる。この持久戦は抗日戦線の指針となり、最後は中国の勝利を導く。中国はしたがって必ずや反撃をするだろう」
毛沢東は「皇軍のお陰でわれわれは政権を取れたのであり、日本軍に感謝している」と戦後、実直な感想をのべていた歴史的事実を、中国人は忘れてしまったようである。
「日本に対抗手段を講じなければいけない」と環球時報が咆えた。香港の英字紙『サウス・チャイナ・モーニングポスト』(12月27日)も、中国の「対日報復を必ず行う」という当局の威勢の寄り発言を大きく伝えた。
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