国防とスパイ防止法の不備はかねてから強く要望されている事項だ。尖閣諸島で中国漁船による海上警備艇への衝突事件でその船長が無罪放免されたとき、日本国中はもとより、もっとも過敏に反応したのが拉致被害者家族会だ。このスパイ防止法の不備と国境警備の甘さによって、多くの日本人が暗闇の日本海を渡ってその人生を奪われたのだ。白昼堂々と行われた領海侵犯と海上警備艇への攻撃行為が「無罪放免」となる、世界に類を見ないのが日本の現状だった。
それを打破し、正常な国家へと向かう安倍政権には、隙のない国防体制を強く願うばかりだ。
西村真悟ホームページ 眞悟の時事通信 を転載
無念なり十一月十五日!防諜法、スパイ防止法があれば!
現在、特定秘密保護法案の成立に安倍内閣が執心し国会とマスコミの関心を集めている。
しかし、それだけ秘密保護が必要ならば、公務員の秘密漏洩だけを罰して、秘密を公務員から奪おうとするスパイを野放しにしているのは職務怠慢を通り越している。
安倍内閣は、何故、秘密保護法とセットにしてスパイ防止法を成立させようとしないのか。このスパイ防止法により、我が国内のスパイおよび工作活動を根絶やしにしなければ国益の毀損と国民の被る危険と不利益は耐え難い。
本日は、十一月十五日だ。
三十六年前の今日、新潟から十三歳の中学一年生の横田めぐみさんが北朝鮮の工作員に拉致された。
もしこの時、我が国にスパイ防止法・工作(テロを含む)活動鎮圧法があれば、この拉致は為し得なかったのである。
それなのに、現在の内閣と政治とマスコミは、ともに、見て見ぬふりをするようにスパイ防止法の必要性を封印し避けて通っている。
避けて通っているでは済まない。
次の経緯を振り返れば、我が国は、未だに自国を「スパイ天国」にしておくように、元占領軍の何処から圧力を受けており、その圧力に屈して我が国内外におけるスパイと工作員の活動を放置しているのかもしれない、と思はざるをえない。
これでは、職務怠慢どころか、国家と国民への裏切りである。
まず、思いつくままに重大事例を挙げる。
- 一九七三年(昭和四十八年)、金大中拉致事件
日本国内から韓国工作員の手によって金大中が韓国に拉致連行された。 - 一九七四年(昭和四十九年)、
大阪湾に入った北朝鮮の万景峰号の中で、在日韓国人の文世光が韓国の朴大統領狙撃を命じられ、大阪府警高津派出所から奪った拳銃を持って日本人になりすまして韓国に入国し朴大統領を狙撃して夫人を死亡させた。
韓国政府は、日本国内の朝鮮総連が狙撃を指示したものと主張して事件の徹底的捜索と真相解明を求めたが、日本政府(田中内閣)は、朝鮮総連の強制捜査に踏み込まず、真相解明を曖昧にした。 - 一九八二年(昭和五十七年)、
日本で活動していたソビエトKGBのスパイであるレフチェンコは、昭和五十四年にアメリカに亡命し、同五十七年にアメリカ下院で次の通り証言した。
「日本はスパイ天国である」、
「日本では、多くの政治家、官僚、学者、マスコミ人が、ソビエトに協力しているという意識なくソビエトに協力した」 - 一九七七年(昭和五十二年)九月、
能登半島の牛津で、三鷹市のガードマンであった久米裕さんが北朝鮮工作員によって拉致され、石川県警は拉致犯人を逮捕するとともに日本海に浮かぶ北朝鮮工作船から日本国内の工作員に送られてくる暗号電波の解読に成功した。
これによって、我が国の警察と政府は、北朝鮮が組織的に日本人を我が国内から拉致連行していることを察知したが、何の措置もとらなかった。
以上の、四つの事例は、我が国の国家主権と国益にとってきわめて重大な事件であり、我が国政治に「スパイ防止法」や「防諜法」等を制定するよう強く促すものである。
しかしながら、我が国政治・我が国の内閣は、これらいずれの事案においても、他人事のように無関心を装い、スパイ防止体制、工作活動防止体制の構築に進まなかった。
特に、昭和五十二年九月の久米裕拉致事件においては、時の福田内閣は、全国特に日本海側の治安組織に「厳重警戒」を指示すべきであったにもかかわらず、それをせずに漫然とすまそうとしたため、四十五日後の十一月十五日、新潟から横田めぐみちゃんが拉致されたのだ。
これは、許し難い怠慢であり、既に、我が国の内閣自体が、北朝鮮と共犯関係にたって日本人の拉致を幇助していたと言わざるをえない。
よって、「無念なり!」ではないか。
我が国に、防諜法、スパイ防止法、工作活動鎮圧法、などの体系があれば、国民を守り、国益を護り得たのに、政治の裏切りというべき怠慢によりむざむざとスパイ・テロ・工作活動を放置し日本人拉致を放置してきたのである。そして、この欠落は、今も続いているのであるから、拉致はこれからも為され、スパイによる国益毀損はこれからも続く。
「戦後からの脱却」とは、この状態からの脱却ではないか。即ち、「スパイ天国からの脱却」である。
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