イスラム国で二人の日本人が誘拐され、身代金を払わなければ殺害すると犯人側が日本政府に要求している。

ここで身代金を払ったら、日本は人質を助けるためなら要求を呑む国だと知らしめることになり、今後世界中の日本人が危険にさらされることになる。こうした場合はまず水面下で救出部隊を派遣し、必ず報復をすることだ。日本人を誘拐しても特にならないし、その後あらゆる報復があると思い知らせることが重要で、その後の抑止になる。
だが、この機に及んで「武力行使は憎しみの連鎖を招くだけだから絶対だめだ」というひとがいる。国内なら統治がしっかりしているからそうも言えるだろうが、国際社会には通用しない。

田母神俊雄さんの意見に強く同意します。

田母神俊雄オフィシャルブログ より転載

イスラム国日本人拉致事件に思う

イスラム国が日本人湯川遥菜さんと後藤健二さんを拉致し72時間以内に身代金2億ドルを支払わなければ殺害すると日本政府に揺さぶりをかけている。安倍総理はちょうど中東訪問中で、イスラエルからのメッセージで、「人命を盾にとって脅迫することは許しがたいテロ行為であり、強い憤りを覚える。2人の日本人に危害を加えないよう、直ちに解放するよう強く要求する」と述べた。強い憤りを覚えると言ったことはテロに対する戦いの決意表明であり、これまでの歴代総理のコメントと比べれば、評価されてもよいのではないかと思う。

日本政府には、2人の人質を助けるために全力を尽くしてもらいたいが、そのためにイスラム国側に裏で金を渡すようなことがあってはならない。彼らに利益を与えることは絶対に避けるべきだ。テロと戦わなければ、今回2人が助かったとしても新たなテロがまた起きてしまう。より多くの人が犠牲になるのである。

昭和52年(1977年)9月28日、パリ発東京行きの日航機が日本赤軍にハイジャックされ、バングラディシュのダッカに強制着陸させられた。乗員乗客百数十名を人質に取り、日本赤軍は、身代金16億円と監獄に拘留中の日本赤軍9名の釈放を要求した。当時の福田赳夫総理は「人命は地球よりも重い」の名言(迷言?)を残し、出獄希望の6人の日本赤軍メンバーを釈放し、16億円の追い銭をくれてやった。これによって乗員乗客は無事解放された。しかし北朝鮮がこれを見ていた。本事件の1ヵ月半後の11月15日横田めぐみさんが拉致された。そして今、北朝鮮から帰国している曽我さん、蓮池さん、地村さんは、翌昭和53年に拉致された。さらにその後数百名にも及ぶ多くの日本人が行方不明となった。北朝鮮が、日本は人質を取って脅かせばカネを出すと思ったかもしれない。

これと対照的な対応をしたのが西ドイツである。ダッカのハイジャック事件の2週間後の10月13日、アフリカのモロッコからスペイン・マルヨカ島経由で西ドイツのフランクフルト・アム・マインに向かうルフトハンザが、同じようにドイツ赤軍にハイジャックされた。航空機はソマリアのモガディシュに強制着陸させられた。ドイツは犯人たちと交渉しながら特殊部隊投入の機会を探っていた。そして遂に特殊部隊を投入し犯人4人をすべて射殺した。このとき機長が1名犠牲になったが、その後西ドイツではテロリストたちによって拉致されたドイツ人は1名だけである。これも無事救出した。

日本とドイツのハイジャック事件に対する対応の違いが、その後の日独に対する拉致事件の発生数の違いになっているのではないかと思う。日本では1千名にも及ぶ拉致と思われる行方不明者がいるのに、西ドイツではたったの1名だけなのである。だからテロには絶対に屈してはならない。

日本ではマスコミが、安倍総理がイスラエル訪問をしたからテロが起きたとか、軍を投入して救出するとアメリカのように年中テロと対面することになるとか、またぞろ何もしないのが一番のような意見がまかり通っている。そのような意見はテロを誘発することに気がつくべきである。日本国民を1人でも拉致したら、犯人を地の果てまで追いかけても殺害するという国家の強い意志が明示されることが必要である。それが日本人に対するテロを未然に抑止するのだ。


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