facebook 日本ウイグル協会 より
5.30日本ウイグル協会学習会報告

ウイグルの現状と難民救援の必要性

5月30日、東京都江東区亀戸にて、日本ウイグル協会イリハム・マハムテイ会長による「ウイグルの現状と難民救援の必要性」についての学習会が開催された。

5.30日本ウイグル協会学習会報告
以下、イリハム会長の報告内容を要約する。

ウイグルからの難民はこれまで以上に中国から脱出することになるが、周囲の国ではなく、中国を横断し自分の故郷から6000キロも7000キロも離れていかなければならない。それは、中央アジアの周辺諸国に逃れても、そこで逮捕されて強制送還されるからだ。

ウイグル人がなぜ自分の故郷から脱出しなければいけないのか

今ウイグルでは「違法な宗教的な活動には参加しません、違法な宗教出版物には関わりません」と言う文書にサインしなければいけないほど管理が強まっているが、何が違法なのか、どの出版物が違法なのかは、まったく中国当局の主観に任されている。
一昨年はある兄弟が逮捕され、一人は5年、もう一人に7年の実刑判決が下された。彼らは中国の回族(イスラム教徒)の地域で出版されたコーラン(正式に出版されたもの)を購入し、それをウイグルで販売したことが「違法な宗教出版物の販売」とみなされた。

そのほかにも、自分の村から他の村に行くときには、外出理由と時間などすべてが記された許可書が必要であり、その許可書なき移動は犯罪とみなされるなど、中国政府の弾圧はさらに強まっている。

経済的にも、ウイグル人は漢族に仕事を取られて貧しく、両親は子供の面倒を見る暇もなく働かねばならない。義務教育は中国にもあるが、それでも色々な出費を要求され、貧しい家庭の子供たちは学校に行くことも難しい。そして子供たちは保育園などに行くこともできず、昼間から畑などで孤独に遊んでいる。
老人たちはどんなに体が衰えても、生活の為に羊を飼い、わずかなお金を稼がなくてはいけないなど、中国の極端な格差社会がウイグル民族にも大きな被害を与えている。

電柱には20台近くの監視カメラが設置されている

これらの貧困問題や人権弾圧は、特にウイグル南部が激く、難民の大部分はこの地域からの出身者だ。
貧しく、人権も自由もなく、監視され続ける所から、子供たちや家族を守るために中国を脱出する難民が出てくるのは当然だと思う。(電柱に20台近くのカメラが設置された中国の監視体制を写真で紹介)

実際に彼ら難民と東南アジアのある国で出会った

隠れ住む難民たち

70~80平方メートルほどの家の客室に、31人の子供と14人の大人が隠れ住んでいた。(幾つかの写真と共に紹介)
難民たちは身分を証明するものがないので外に出ることもできず、2月から5月まで、朝から晩まで、子供たちもずっとその中で隠れ住み、時にベランダに出るくらいの事しかできない。このような状態で皮膚病や感染症が蔓延する。また、乾燥地帯に住んでいたウイグル人は湿度の高い東南アジアで健康を崩しやすいが、お医者さんに診せることもできない状態にある。今回10日間いる間に、3人の子供が熱病に倒れたが、それでも病院に行くことができない。行けばパスポートを求められ、それがなければ不法在留として刑務所に送られる。その中で命を失った子供もいるが、埋葬することも困難な状態にある。

3年前のカンボジアでは

国連の難民認定を受けられたにもかかわらず22人のウイグル人が中国に強制送還された。この時は中国がカンボジアに経済支援を与えて彼らの引き渡しを要求した。これと同様の事は東南アジア諸国で起きている。それによって難民たちは、自らが名乗り出たり、救援を難民高等弁務官に求めたりすることを恐れており、難民救援を難しくしている。

先月ベトナムで捕まったウイグル難民は

報じられている限りでは彼らがベトナム軍人に抵抗し、窓から飛び降りて死んだと伝えられているが、その死体を見れば、手錠がかけられたままだ。本当にそのような行為に及んだのかわからず、ベトナム側の説明には不十分なところが多い。

ベトナム国境の警備兵の中に中国の兵士

また別の写真をみれば、ベトナム国境の警備兵の中に、中国の兵士のヘルメットも映っている、ベトナムは中国の軍人が国境線を超えてウイグル難民を連れていくことを許したのではないか。ベトナムは領土問題で中国に対抗しているように見えるが、この難民問題では中国にきちんと対峙していないのではないか。

ウイグル人だけでは難しい難民救援

一つには、このような東南アジアでの難民救援のための組織や経験が残念ながら乏しいこと。国際社会、特に国連による難民救援がぜひとも必要であり、日本国もまたこのような難民を救援対象としてぜひ考えてほしい。移民受け入れの是非がしばしば議論されるが、人道的に救援すべき難民問題に対しては、さらに日本は積極的になる必要があるのではないか。

ウイグルではこれまで以上に、自分たちが生きる上での信念や心のよりどころを、イスラム教信仰に求める人が増えて来ており、その中で極端な思想が生まれることを危惧している。今後は、中国がテロを言い訳にしてウイグル人に更なる虐殺や弾圧を強化していくことになるだろう。

幾つかの写真と共に紹介幾つかの写真と共に紹介

リンク
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日本ウイグル協会

予告記事: 【真相報告】5.30東京 「ウイグルの現状と難民救援の必要性」