中国や韓国の対日姿勢は全て国内事情だ。
だが、それを逆手にとって国防や憲法改正の追い風とし、国益を図るのが政治だ。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第90号 を転載

尖閣2月危機か?

木曜日に中国空軍の戦闘機が尖閣領空に接近して、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進した。昨年12月13日に中国機が尖閣領空侵犯をして以降、いくたびか尖閣領空接近が試みられているが、それらはいずれも中国国家海洋局所属であり、空軍ではない。

昨年末から中国の機関紙では「中国空軍を尖閣に派遣せよ」と息巻いていたから、「いよいよ空軍のお出ましか」と息を呑んで注目したが、何と来た戦闘機はJ7とJ10。防衛省は特異な事件ではないとして発表を見送ったというのも、無理もない。J7は旧ソ連のミグ21のパクリで、もはや完全な旧式、J10はイスラエルがたった3機で生産中止にしたラビという欠陥機のパクリである。

日本側は第4世代型最強のF15が飛び立ったが、新年早々こんな旧式機と欠陥機のお出迎えをさせられて空自パイロットもさぞ落胆しただろう。中国戦闘機は10機飛来したそうだが、F15、2機で5分以内に全機撃墜できるほどの性能の悪さである。防衛省が発表を見送ったというのも、中国に恥を掻かすまいという武士の情けからではなかったか。

中国はJ11やJ15、J20など新鋭機を続々開発していると伝えられる。ならば何故これらの新鋭機が出て来ないのか?

実はこれらの新鋭機はいずれも主要な部品がロシア製なのだ。例えばロシアがエンジンを100個輸出する。ところがまともに動くのは最初の3個だけで残りの97個は欠陥エンジンだ。

そうとは知らずに中国は100機飛行機を作る。最初の3機はまともに飛ぶ。公開されている映像はこの3機の飛行を撮影したものだ。ところが残りの97機は飛ばない。中国が苦情をいうと、ロシアは改修に応じ改修費を10倍ぐらいぼったくる。それでもまともに飛べるようになるのは3~5程度、そのうち別の箇所が故障するから、100機あっても常時飛べるのは5,6機がやっとらしい。

J7は旧ソ連製だが文化大革命前に中国は生産技術を取得したから、中国が自由に改修できる唯一の機種、J10は、イスラエルはロシアほどあこぎではないらしく、一応まともな部品を供給するから欠陥機とはいえ何とか飛ぶ。
つまりJ7とJ10は中国空軍で常時飛べる数少ない機種なのだ。

中国空軍、恐れるに足らずだが、では中国はなぜ尖閣で挑発を繰り返すのか?これは一口に言えば予算獲得のためだ。「中国領を防衛するために出撃しています」といえば、予算を獲得できる。

中国の国家海洋局や漁業監視局は中国海軍の手先だから、これまで監視船などが挑発を繰り返してきたのは中国海軍の予算拡大のためだ。このたび中国空軍が挑発に加わった。つまり空軍も予算獲得競争に参加したのである。まともな国の軍隊ならありえない事だが、拝金主義の軍隊の危険な火遊びである。

もとよりこうした挑発を放置すればエスカレーションして尖閣占領という事態も起こり得る。挑発を断固拒否する態勢が重要なことは言うまでもない。

尖閣危機は2月にエスカレートする可能性がある。下記参照
尖閣2月危機! 背景に人民解放軍の権力闘争「偵察用無人機を不時着させ…」

安倍政権の防衛政策についてチャンネル桜で解説した。
http://www.youtube.com/watch?v=my32is1NizY


軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、論文「日本の安全保障の現在と未来」が第1回読売論壇新人賞佳作入選。現在、日経ビジネス・オンライン、日本文化チャンネル桜等、幅広く活動。

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