真悟の時事通信 平成24年 7月 3日 を転載

政治の責務と正反対の民主党と沖縄防衛

本日の産経朝刊に掲載された「正論」は、拓殖大学の遠藤浩一教授の論考である。六十四年前の片山内閣の官房長官であり初代民社党委員長であった西尾末広さんが、現在と同じ与党内の分裂という事態に対して行った内閣総辞職の決断を冒頭に掲げた上で、現在行われている民主党内の「目を覆うばかりの惨状」を一刀両断に斬って捨てたものである。

即ち、
「野田総理や輿石幹事長そして得意げに造反してみせた小沢一郎や鳩山由紀夫両元代表に、西尾が示した見識や覚悟が見当たらない。」
「輿石幹事長は、(保身のために)無意味としか思われない小沢氏との会談を繰り返して時間稼ぎをしてきた。」
「小沢氏らは2日、離党届を提出したが、反対票を投ずる前にそうするのが筋ではなかったか。」

西尾末広は、当時にもあった党内宥和論をとらなかった。
そして、政権与党分裂という状態のままで連立政権の重責を担うことはできないと思い決したのだ。
西尾のその決断の前提には「政治の責務」に対する明確な認識と信念があった。これによって、この状態ではその責務を果たすことができないという決断に達したのである。

彼にとっては、政治家の責務を果たすことが目的であり、自らが地位に留まることが目的ではなかった。

官房長官にも色々ある。西尾のような、実質、総理を超える官房長官と、今のような、実質、丁稚以下の官房長官と。
私は、この西尾末広を初代委員長とする民社党出身であることを誇りに思う。
民社党出身者にして現在民主党にいる者は誇りに思う資格はない。自ら顧みて恥よ。

昨日(2日)の晩、
党に離党届を提出した親分の顔と、親分に離党届を提出しながら離党しませんと言い訳する馬鹿な三下の顔がテレビにでていた。四十過ぎれば、顔に責任を持てとは本当だ。その時思ったことを一言だけ。
「あほらし、
手品の種は開いてまっせえ
やはり、あんたの嫁はんの言うたことが、ただしい。」

さて、政治の責務を話そう。
それは、つまり、国防と外交そして経済だ
国防と外交は、国家が独立自尊の歩みを確保する為、
経済は、国家と国民が食ってゆける為、
の政治の責務である。

しかるに、戦後政治とは何か。
それは、占領憲法によって、国防と外交を無視して観ないようにしながら、経済のみに意識を集中するしかない体制である。
しかしながら、この戦後政治を許容し機能させた冷戦はとっくの昔に終了しているにもかかわらず、我が国は未だに占領憲法の枠内に縛られて戦後政治を続けている。
ここに現在の最大の国家的危機がある。

そこで、民主党の野田内閣が一年間にわたって集中してきた「消費税増税」とは何か。それは、国防と外交の領域ではないことは明らかであるが、では、経済の領域なのか。

私の答えは、経済の領域でもなく、むしろ「経済を無視した領域」だった。

つまり、野田内閣は、政治の責務の三つのどれにも関心を示さずに、ただ「経済を無視した領域」である消費税増税に貴重な一年間を費やしてきたことになる。

消費税は、国民に自発的な消費活動があることを前提とする税である。つまり、国民経済が躍動しており活力があることを前提にして、消費税率のアップが税収アップにつながる税なのだ。
従って、民主党内閣は、既に書いたように、二年後に消費税率を上げる前に、政治の責務として我が国経済を活性化させる責務を果たさねばならない。

しかしながら、分裂した民主党に、この深刻なデフレ経済を活性化する総需要喚起の方策を断行できるのか。答えは否だ。
この党を出て行く者も残る者も、ただ、消費税に関して、マニフェストに書いたか否かだけを言っている。

さて、国防と外交についてであるが、もう詳しく言う必要もない。
野田内閣は、何も主体的に動いていない。属国であるが如く、アメリカと中共のなすがままである。
尖閣を如何にして守るのか。
北朝鮮に拉致された日本人を如何にして救い出すのか。
中共の核ミサイルの脅威を如何にして防ぐのか。
総理の野田のあの空洞の目は何も見ていない。

要するに、野田の個人的問題に止まらず、特に民主党内閣になってからは、政治の責務である国防外交そして経済のどれに関しても彼等は無関心を決め込んで、ただ己等が一日でも長く与党生活を続けられる為の保身だけに関心を集中してきた。もちろん、その「彼等」とは、この度出て行った者達も含んでいる。
まさに、遠藤浩一氏が言うように「目を覆うばかりの惨状」だ。

最後に、もっとも注意を要する沖縄のことについて触れて本稿を終えるが、アメリカ海兵隊の沖縄普天間基地へのオスプレイ配備について、沖縄説得に、英語で「自信がない」と言って沖縄へ行った防衛大臣がいる。

任命権者である野田総理は、「自信がない」と言い放ちながら、形を付けに沖縄に行こうとする防衛大臣を、沖縄に飛び立つ前に更迭しなければならなかった。
このことに気が及ばない総理や外務大臣は無能かつ無責任だ。
何故なら、現在の我が国の国防力と中共の戦力を対比すれば、沖縄防衛にはアメリカ海兵隊の戦力が必要で、オスプレイはその為に普天間基地に配備しなければならないからである。

このオスプレイ配備が困難だという状況を作っているのは、「大多数の沖縄県民」ではなく、本土から沖縄に群がる左翼と中共が沖縄で仕掛けている情報戦・工作活動の成果なのだ。

中共の沖縄侵略は、情報戦、宣伝戦として既に始まっている。
防衛大臣が「自信がない」と他人事のように言い放って沖縄に行き、総理大臣もそのような防衛大臣が沖縄に行くことに危機感もなく無関心だ。
さらに、沖縄県知事が、こともあろうに、反基地活動家の如く、何の権限あってか、オスプレイが沖縄に配備されれば沖縄の全基地を閉鎖するなどと「自信のない防衛大臣」に言い放つ。これは沖縄のみならず、全日本を危機に陥れる暴言である。
この日本の政治状況を観て、ほくそ笑んでいるのは、沖縄侵略完了間近しと判断した中国共産党であろう。

北海道から沖縄まで、日本全土の日本国民は、断じて沖縄と沖縄県民を二度と再び見捨ててはならない。
その為に、見捨てないためには、一刻も速く民主党政権を打倒し、民主党によく似た自民党に政権を戻すのではなく、新たに党派を超えて愛国の同志を結集した真の保守政権を樹立しなければならない。

 
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