威勢よく相手を恫喝したつもりだが、それがやがてブーメランのように自分に跳ね返ってくる。歴史の学習が足りないのか、いつまで経ってもそれが分からない人種だ。
支那はレアアースを輸出停止にすれば日本はビビルだろうと予測したが、当てははずれて大損害。
台湾の馬英九(支那人)は福島の原発事故をヒステリックに報じて台湾人の日本離れを画策したが、過敏に反応した台湾人はそれに反して日本支援の大きなブームを沸き起こし、日台関係を更に良好にした。そして台湾国内に完成した新たな原子力発電所を稼動したいが、日本の原発事故を過大報道した後遺症で、稼動できない状態だ。

「泣きっ面に蜂」という文字が、妙にフィットしている。

 
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 通巻第4050号 を転載

レアアース騒動の糠喜び、日本企業は次のステップへ
出鱈目なレアアース精錬と垂れ流しが黄河をさらにひどく汚濁させていた

 
あの「レアアース騒動」はいま、何処?
次代の自動車といわれた電気自動車やラップトップ・コンピュータに欠かせない鉱物資源は中国に生産が集中している。レアアースの85%が中国である。

顕著なレアアース工業区は内蒙古省パオトウ市の西側。広大な工業団地に進出企業はまばら。鉄道駅近くに34階の偉容を誇るのはレアアースホテル(希土類飯店)、ここにレアアース取引所も入居している。

2012年夏に、筆者はこれらの地区を見て歩いたが、人影も少なく、鳴り物入りのホテルに宿泊客がまばらで、滅法景気が悪い。
いったい日本の報道とは大きな齟齬(違い)があるのは何故かと考えていた。内蒙古省は団派(共産主義青年団)の人脈が食い込み、政府の要職をしめて、レアアース、レアメタルの鉱区の利権を抑えた。日本の需要を横目に、いきなり値上げ、さらにはクオータを表向きの理由に輸出停止という暴挙にでた
その直後に筆者はパオトウの現場にいた。

日本企業は悲鳴をあげたが、ただちに次の行動に移行し、米国、カザフスタンなどに供給元の多元化をはかる一方で、レアアースを使わない磁石材料の研究開発に取り組んできた。この結果、中国の思惑はごろりと外れ、いまレアアース市場は大暴落、在庫の山を抱える。
あまつさえ密漁ならぬ不法な鉱区での採掘がすすみ、江西省では山々が荒れ地となって、ひどい汚染に曝される。

当局が「レアアース・マフィア」による密売を取り締まれなかったからである。
後者江西省の汚染は暴力的企業が化学剤を注入して後始末をしないという滅茶苦茶な精錬をおこなうため、過去二十年の間に地下水がすっかり汚染されて、川下の広東省にも拡がり、政府がどれほどの公害対策予算を講じても間に合わなくなった。

この中国の汚染はWTOの議題にもなった。米国の人気歌手はぜんそくのため、北京公演をとりやめる騒ぎも起こった。

泣きっ面に蜂は天津からもやってきた。
天津ではレアアース精錬が盛んだが、公害設備のない、垂れ流しの工場から廃液される廃棄物は多くの毒物を含み、そのまま地下に染みこみ、黄河に流れ込んだ。
この黄河流域に住む一億五千万の人々が汚染に悩まされ、対策が講じられないために奇病の発生も見られるという。

 


 

宮崎正弘

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