あの「平和記念式典」を象徴する碑文、「過ちは繰り返しませんから安らかにお眠りください」に関して書き留めておく。
A「日本は過ちを犯したから原爆を落とされたのだ」
B「過ちを犯した日本を核攻撃することは正義である」
つまり、この碑文は、日本を核攻撃する国に正当性を与える内容なのだ。

真悟の時事通信 (平成23年8月6日号) を転載

八月に入れば、やはり六日の広島への原爆投下から、各地のお盆の行事が続くなかで十五日の終戦の日がくる。
本日朝、テレビで爆心地で行われた「広島平和記念式典」の様子を見た。菅直人が例の目をきょろきょろさせて座っていた。本人は睨んでいるつもりのようだが、目に力がなく軽薄である。

昨年の六日は、「記念式典」の終わった後の広島の爆心地にいた。そこは、赤旗とマイクのアジ演説と、シーシェパードのようなヒッピーがうろうろする広場だった。
そして、広島市内には、全国各地から集まった左翼組織が赤旗を立ててデモ行進をしていた。彼らは危険人物の前航空幕僚長田母神俊雄さんの講演が行われるホテルの回りを練り歩き、「田母神、広島から出て行け」とマイクで叫んでいた。本日は、広島にいないので、街の様子は分からない。

そこで、あの「平和記念式典」を象徴する碑文、
「過ちは繰り返しませんから安らかにお眠りください」
に関して書き留めておく。

もうぼつぼつ、この碑文の重大な危険性に気付くときだ。
日本人が、如何にセンチメンタルな思いをこの碑文に持とうが、日本人以外、特に核保有国は、この碑文を次のように読む。
A「日本は過ちを犯したから原爆を落とされたのだ」
さらに、日本を核ミサイルで狙いを定めて実戦配備している国、つまり中国は、こう読む。
B「過ちを犯した日本を核攻撃することは正義である」
では、日本が過ちを犯したか否かは、誰が判断するのか。
「判断するのは中国であり、断じて日本ではない」

つまり、この碑文は、日本を核攻撃する国に正当性を与える内容なのだ。過去に核攻撃した国(A)に止まらず、将来の核攻撃をも正当化する(B)危険きわまりなき内容がこの碑文に書かれている。よって、この碑文を削除しない限り、誰も安らかに眠れない。

昨年の「平和記念式典」にはアメリカ駐日大使が出席し、本年は大使は公務出張で公使が出席したらしい。彼らは、碑文をAと読んで出席しているのだ。
つまり、過ちを犯した日本に原爆を投下したことは正当であったとして出席している。決して、原爆を広島に落として申し訳ありません、ごめんなさい、として出席しているのではない。

更に言うならば、アメリカが広島に来るのは、日本の「反核平和運動」、「原水爆禁止運動」を励まして、日本の核武装を阻止するためである。
アメリカは、中国や北朝鮮の核は容認している。そして、中国や北朝鮮と手を握り共同してでも、日本の核武装を阻止するのがアメリカである。
アメリカや中国が進める六カ国協議は、その為の多国間枠組みである。その六カ国協議で、拉致被害者解放の話しが進み、北朝鮮の核放棄が決定されると思ってはならない。
この協議の中では、日本は北朝鮮に金や物資を出す役割だけを押しつけられ、敵が強力な核保有国になって手も足もでなくなるまで、非武装を強いられることになる。
この意味で、ブッシュ政権での国務長官コンドリーサ・ライスと彼女にヒルのようにくっついていた次官補のヒルは、我が国にとって最悪の裏切りをした。
まずライスは、ブッシュ政権末期、北朝鮮に対して効果を発揮していた「制裁路線」を放棄して「協調路線」に転換させた。その結果、拉致被害者救出は背後に押しやられた。大統領のブッシュは、ホワイトハウスで横田めぐみさんの母早紀江さんに会ってめぐみさん救出への協力を約束した男ではなかったか。これはアメリカブッシュ政権の日本への裏切りである。

次に、中川昭一さんが、「日本の核武装」に触れたとき、ライスは日本に飛んできて、「アメリカの核の傘」を約束して我が国の核論議を押さえてその芽を摘んだ。しかし、アメリカの核の傘など無いのだ。ライスがそれを一番よく知っている。ライスは、日本の安全を嘘をついて誤魔化した。これが同盟国の国務長官がしたことだ。コンドリーサ・ライスは、最悪の国務長官だった。
二年前の十月三日に、中川昭一さんが亡くなった。自国日本の安全を真摯に考える貴重な政治家が死んだ。
アメリカは、ほっとしたのではないか。
これほど、アメリカは日本を「蓋をしたビン」の中に閉じこめておきたいのだ。これが日米安保は、「ビンの蓋」というアメリカの論理である。そして、中川昭一君以外の政治家は、蓋をされたビンの中で生きることしかできない。したがって、ライス如きの嘘に喜んで飛びついて自ら核の論議を封殺した。

次に、中国の読み方Bに移る。
この中国は、日本を良い国と賞賛しているのか。全く賞賛などしていない。朝から晩まで、日本は悪い国だと繰り返している。
昨年九月の我が国の巡視船に追突した中国漁船の船長逮捕に際しては、「過ちを犯した日本」を非難し、強力な制裁をほのめかしている。そして、この日本を攻撃することは、広島の碑文によって正当性が与えられている。

本年一月、中国外務相は、中国の核の先制使用方針を否定して次のように国際社会に表明した。「中国は如何なる状況下でも核兵器を先制使用しないと厳粛に約束し遵守している」
これを以て、我が国の政界やマスコミ界を安堵の雰囲気がおおった。しかし、彼らは、何とおめでたい、一体、自分の頭で考えることができないのか、と思われないか。
核を先制使用するか否かは、核を保有する国同士に通用することであって、核を持たない国に対しては、先制するもしないもないではないか。中国は、こういう核を持たない国に対しても核を使用するか否かだけが問題なのだ。
そこで、中国は何と言っておるか。
二〇〇五年、朱成虎国防大学防務学院長、曰く、「台湾、日本、インド、東南アジアは人口密集地帯であり、人口消滅の為の核攻撃の主要目標になる」

戦慄されたし。
中国は、核を持たない国に対する懲罰的核使用を公然と認めているのだ。我が国を「人口消滅の為の核攻撃の主要目標」だと!しかも、広島の碑文がその核攻撃を自ら招き寄せているのだ!

このことに思いを致さず、
相変わらず安楽な「蓋をされたビン」の中にいて広島に集まり、
「核廃絶」、「原子力との決別」を訴える政治家は、
無責任かつ不勉強を通り越して、
無念の思いをもって殺された多くの物言わぬ被爆者をダシにする
国家への裏切者ではないか。

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西村真悟の時事通信