中国の脅威を指摘する国は多い。遅すぎた感があるが、日本が珍しく今回のような「防衛白書」を表明した背景には、こうした米国側の要請と支援を受けたのかもしれない。
産経ニュース 2011.8.4 を転載
米議員228人が台湾への戦闘機売却要請 中国軍拡に対応
【ワシントン=古森義久】
米国下院超党派の議員181人が連名でオバマ政権に対し台湾への米国製F16C/D型戦闘機の売却の決定を求めたことが3日、明らかとなった。上院でもすでに47人の議員が同じ要請を同政権に伝えた。これら議員たちはいずれも中国の最近の軍拡に対する台湾の防衛強化を理由にあげており、中国の反発を懸念して決定を延ばしてきたオバマ政権は態度を鮮明にすることを迫られた。
米国議会での米台関係に関する動きに詳しい「米台ビジネス協議会」の3日の発表によると、下院の外交、軍事各委員会の委員長らを含む共和、民主両党の議員181人がオバマ大統領に対し1日付で台湾政府がここ数年、求めているF16C/D型戦闘機66機を敏速に台湾へ売却することを決め、米議会からその承認を得る手続きを開始することを要請する書簡を送った。
同時に公表されたこの書簡は中国が台湾を標的とする弾道ミサイルを台湾海峡に近い福建省などに合計1400基も配備するなど台湾攻略のための軍事力を大幅に増強していることを指摘し、このままだと米国の台湾関係法が規定した「台湾の安全保障は米国にとって重大な懸念事」にあたるとしている。
書簡に署名した議員は共和党が多いが、民主党の有力議員も含まれている。下院の全議員435人の3分の1以上からのこの要請にオバマ政権も近々に最終態度を明確にすることが求められている。
台湾軍は、保有する戦闘機が旧式となり、2006年から米国に対しF16の改良型のC/Dの輸出の許可を求めるようになった。中国はこの米国の台湾への兵器輸出に激しく反対しており、オバマ政権もその中国の反発を恐れて、決定を毎年、先送りしてきた。