中国内での大きなデモや暴動の原因はその国内事情からきているが、日本はこれを政治的に利用できる格好の時だ。中韓合わせて経済カードを断ち切れば、願ったり叶ったりだ。中韓との関係が冷えて困ることなどないのだ。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年9月16日 通巻第3755号 を転載

915反日デモの本質は公安のやらせから一部暴徒化
こんどは仕掛けたのは胡錦涛派、上海派へのデモンストレーション

昨日の反日デモは中国各地、およそ50都市で展開され、合計十万人が参加した。若者の暇をもてあます結果の、格好の娯楽である。
北京の日本大使館でも数千規模に膨れあがって公安の制御が聞かなかった。

暴徒化したのは湖南省長沙と山東省青島である。長沙では日系スーパーが襲撃され、略奪の対象となった。青島では日本の自動車販売店が焼き討ちにあったほか、中国に最初に進出し、天安門事件でも営業を続けて当時の李鵬首相にほめられたパナソニック工場が焼き討ちされた。これぞ忘恩の暴徒。

今回は胡錦涛と温家宝の強硬発言に端を発する。日本の尖閣諸島国有化を「半歩の譲歩もしない」と大風呂敷を広げ続けた温家宝らは、「弱腰」と批判されてきたため、上海派への当てつけなのである。
即ち、中国人は「五分間の熱狂」と「気死」で特質を抽出することができるが、その「大風呂敷を広げあう」特質はあっても、「(日本人が得意な)風呂敷を畳むことが出来ない」からである。

権力闘争のからみでいえば、習近平は次期執行部(党政治局常務委員)のうち、四名を抑えることが可能か、三名に留まり団派が四名となるかの土壇場。もっと露骨に言えば、習近平の雲隠れは、土壇場の根回しで外交に時間が割けなかったことであり、団派は最後の多数派工作の段階で、どうしても反日デモの黙認というカードに頼らざるを得なかったからだろう。

それはともかくとして、日本はこれを奇貨として、通貨スワップの全面停止措置をとれる。中国資本の水資源買収との規制も法制化を急げる。新潟の五千坪の中国領事館契約も白紙に戻せる。
この絶好のタイミングを外交得点に活かすべきではないか。

 
リンク
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
宮崎正弘のホームページ

<宮崎正弘の最新刊>
中国権力闘争 共産党三大派閥のいま(文芸社 1680円)

<宮崎正弘のロングセラー>
『中国が世界経済を破綻させる』(清流出版、1680円)
『世界金融危機 彼らは「次」をどう読んでいるか?』 (双葉新書、840円)
『2012年、中国の真実』 (WAC BUNKO、930円)
『中国大暴走 高速鉄道に乗ってわかった衝撃の事実』 (文藝社、1365円)
『中国は日本人の財産を奪いつくす!』(徳間書店、1260円)
『オレ様国家 中国の常識』(新潮社、1470円)