チッソ新子会社が営業開始 水俣製造所に新社旗
水俣病特別措置法に基づき、原因企業チッソの事業再編(分社化)ですべての業務を引き継いだ100%子会社の「JNC株式会社」が1日、営業を開始した。
従来のチッソは、持ち株会社となる親会社チッソと、液晶や繊維などの事業部門に特化したJNCに分社化。チッソはJNCの株式配当を原資に患者補償や公的債務の返済を担う。
水俣市の水俣製造所では同日、入社式があり、大衡一郎水俣本部長が訓示。「みなさんは純資産600億円のJNC社員となった。会社をさらに大きく育ててほしい」と激励した。正面玄関で、地元採用の新入社員24人と幹部が新しい社旗を広げて記念撮影した。東京・大手町の本社でも受付に「JNC」のプレートが加わった。
JNC会長を兼務するチッソの後藤舜吉会長は「患者補償の完遂はもとより、JNCを地域社会のためになる会社に育てていく」とのコメントを出した。
一方、松本龍環境相は閣議後会見で「患者の福祉と地域振興も着実に実行してほしい」と強調。将来のJNC株売却について「あたう限りの被害救済が終わらない限り、ない。大臣承認がいるので、そこはしっかり見ていく」と述べた。(渡辺哲也、辻尚宏)