北朝鮮を空爆せよ!
朝鮮半島情勢は錯綜しており予断を許さないが、現在日本の戦略的展望には二つの極論が存在する。ここでいう極論とは「論理的ではあるが現実的には困難な所論」という意味で、非難の意図はない。むしろ極論が提示されることで問題の範囲・限界点が明確になるので、歓迎されるべき所論なのである。
極論1:日米韓の連合で北朝鮮を攻撃せよ。そして韓国による北朝鮮併合を実現し、統一韓国を日米が後押しして中国の民主化を実現する。
問題点:日米韓と中朝露の対立という現状から見れば当然の論理的帰結であるが、韓国は北朝鮮勢力に乗っ取られつつあり反日勢力化している。韓国を親日化するのは至難の技だろう。
極論2:韓国は中国に急接近し、北朝鮮は中国と対立を始めている。そこで日米は韓国を放棄し北朝鮮を承認する。日米朝と中韓の対立の構図に現状を再編し、朝鮮半島のバランスを保つ。
問題点:もし北朝鮮がまともな国家なら、この提案は地政学的バランスを維持するには最適だろう。だが現実には北朝鮮は完全なアブノーマル国家である。日本に北朝鮮大使館が出来て拉致犯が外交官特権を持った政府職員として日本に赴任して来る光景を想像されたい。
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戦略論では、しばしば方法論として二つの極論を提示して、その中間に正解を求める。要するに、この二つの極論の間に正解がある筈である。
ここで筆者なりの現状分析を示すと、米軍は2月の北朝鮮核実験を受けて、北核施設の空爆の検討に入った筈である。これについては現在発売中の「撃論」第十号に「北朝鮮ノドン・ミサイルを破壊する、軍事力行使の準備を急げ」を書いている。 >>> 撃論ムックトップページ
1994年にも米軍は北朝鮮空爆を検討しており、日本政府の非協力的姿勢から実施困難となり、同年第1次米朝合意に至った。思えば間違いはこのとき始まったのであり、同じ愚を繰り返してはならない。
米軍が空爆するというのなら日本は断固協力すべきだろう。さらに邦人救出の枠組みを拡大して、日米共同作戦による拉致救出を実行すべきだろう。
軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、論文「日本の安全保障の現在と未来」が第1回読売論壇新人賞佳作入選。現在、日経ビジネス・オンライン、日本文化チャンネル桜等、幅広く活動。
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