習近平が国家主席として初の訪問先はロシアのようだ。孤立化しつつある中国は、ロシアとの関係を温めておきたいところだ。だが、ソ連時代に対峙していた経緯を踏まえれば、信頼関係は築き難く、経済を中心とした利害関係に終始するだろう。ロシアは日本のように甘くはない。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年3月13日 通巻第3902号 を転載

習近平の国家主席としての初訪問はロシア
プーチンとの難題解決は武器よりガス、石油、電力が重点目標

全人代の関心事はマスコミが環境問題に焦点を当てたが、党としての事実上の関心事は権力争い、その人事予測が出そろい、つぎは「全人代以後」のことに移った。

習近平が三月末にでかけるのはモスクワである。
プーチンとの会談で予定される議題は武器供与、人民元スワップではなく、殆どがエネルギー問題となるだろう。

第一にロシアから中国への石油輸出問題だ。
すでに年間1500トンが輸出されているが、価格交渉が暗礁に乗り上げ、次の日程が決まっていない。アルカディンド・ボルコビッチ副首相が2月25日に北京を訪問し、王岐山と石油価格、電力、原発技術などの懸案事項を話し合った。

前後して、イゴール・セチン(ロスネフツ社長)が北京を訪問し、両国はエネルギー問題で「戦略合意」を得たと伝えられたが、価格交渉は折り合わなかった。
原油は現行の鉄道輸送にくわえて東シベリアのパイプラインが完成しており、年間1500トンを20年間にわたって供給する。中国側は250億ドルの貸し付けを用意しロシアに値引き交渉を続けてきた。

第二にガスである。
ガスプロムはアルタイ・パイプライン(総延長6700キロ)を通じて年間3000万立法メートルを供給し、これは2014年に開始予定である。

ロシアは欧州へのガス供給価格と同様の条件を提示してきたが、中国側の輸入主体となるCNPC(中国石油天然気集団)との合意が出来ていない。

第三は電力供給である。
ロシアは26億3000万キロワット(2011年比較で二倍)の電力を中国に供給する契約だが、価格に凹凸がはげしく、中国側はさらなる値引きを要求し、これも暗礁に乗り上げている。

結局のところ、習近平はプーチンとの会談でエネルギー問題に相当の時間とエネルギーを費やすことになるだろう。

 
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