鍛冶俊樹の軍事ジャーナル 第71号(8月18日) を転載
(下段にイベント情報あり)

日本は尖閣で敗退した

とある会合に現政権与党の外交担当の国会議員が登場した。尖閣事件の直後だけに当然、注目度は高い。

そこで議員いわく「今回の強制送還については問題が多々あることは間違いなく・・・」ふーん、一応問題意識は持っているらしい。
「しかし外交というのは角を突き合わせればいいものではなく・・・」あれ!毅然とした対応はどうなったんだ?「日本には国民の高い倫理・道徳意識と高度な科学技術という二つの武器があります。この武器を活かして・・・」だがそれは武器じゃない。国民の資産だ。国民の資産を浪費して守ろうとしない政府って何だ?

というわけで会場には見る見るうちに失望感が広がった。上品な会合なのに滅多にない野次が飛び、途中退席者が相次いだ。議員もさすがにばつが悪かったと見えて、話が終わるとそそくさと退席。だがその後は悪口大会となって盛り上がったから結果的には有意義な会合だったが…

議員はまったく触れなかったが、私が一番問題だと思うのは米国の反応だ。米国務省の報道官は「日中両国で平和的に解決して貰いたい」とコメントしただが尖閣について、日本が中国と話し合う余地はない。尖閣は日本領であり日本が実効支配している。中国が一方的に不法行為を繰り返しているだけであり、尖閣を日本領と認めている同盟国、米国がコメントすべきは中国を非難し「日本政府を支持する」以外にあろうはずがない。

ところが米国はそう言わずに話し合えという。尖閣の領有を主張する中国と話し合ったら、領有権を折半するという結論にしかなりようがない。一昨年の漁船衝突事件のときは「尖閣は日米安保の対象」と明言した米国務省がどうしてこうもぶれるのか?

この8月、確か野田総理は米国のオバマ大統領にTPP加盟の正式申請をする予定だ。つまり米国はそれまでは尖閣問題をお預けにする意図なのだろう。つまり尖閣を守ってほしければ日本の市場をよこせという算段だ。

要するに日本は、中国に小突かれ韓国に舐められ米国にゆすられ、ロシアに脅されている。まさに四面楚歌の状況の中で何と北朝鮮が手を差し伸べてきた。溺れる者はわらも掴むとは言うが、「この際、わらでも浮草でもいい」とばかりに北朝鮮にすがり付くのだけは、野田さん、頼むからやめてくれ。あれはわらじゃない。サメだよ、サメ。

上陸を阻止できなかった海上保安庁に非難が集中しているらしい。私はこのたび出版した「国防の常識」の中で、海上自衛隊と海上保安庁と水産庁を併せて海洋省を創設するよう提言した。領海警備、島嶼防衛、海洋資源の確保のための強力官庁が必要なのはもはや誰の目にも明らかだろう。

 


【イベント】

「国防の常識」出版記念トークライヴ 好評に付き再演

8月10日に拙著「 国防の常識 」が出版されました。「角川ONEテーマ21」

つきましては銀座にて出版記念トークライヴを挙行いたします。
新著の販売およびサイン会もやります。
トーク:鍛冶俊樹(かじとしき) 
唄:相馬瑞加(そうまみずか)  相馬 瑞加 | Facebook
ピアノ:CHIKA  Chikaのホームページ

詳 細
日 時 9月1日(土) 18:00開演~20:00
会 場 伽藍(がらん)バー http://www.ghalan.com/
東京都中央区銀座6-4-8曽根ビル地下2階
電話 03-3289-3600
参加費 5000円(2ドリンク+軽食付き)
申込先 下記メールで、件名:「トークライヴ申し込み」としてお名前と電話番号(出来れば携帯)をお知らせください。
GBE02055@nifty.ne.jp

 


軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、論文「日本の安全保障の現在と未来」が第1回読売論壇新人賞佳作入選。現在、日経ビジネス・オンライン、日本文化チャンネル桜等、幅広く活動。

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<著 作>
新刊 国防の常識 (oneテーマ21)

[ 内容 ]
今、日本が直面している問題とは何か。
地政学や軍事はもちろん、国民、経済、情報、文化など、5つの視点からの防衛体制を、東日本大震災、尖閣問題、北朝鮮や中国、アメリカの動向を踏まえながら解説する必読書。

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