この水俣病問題は根が深く、決定的な症状が見られないため、認定基準の難しさが指摘されている。被害者団体が主張するように、知識のない人や風評を気にする人が多いのも事実だろう。
一方、そうした隙間に入り込む「市民活動家」がいるのも常である。こうした社会問題に介入し、「支援」と称して背後からあらゆる知恵と行動を煽る。「市民活動家」の目的は、被害者を前面にした「反政府活動」だ。沖縄県内で「平和」「反戦」「反基地」「環境」などときれいごとを言いながら騒動の背後にいるのもこうした「市民活動家」だ。
こうした「騒動屋」を排除して純粋な被害者を一人でも多く救済するには、被害者たちからの協力が必要だ。
だが、長い年月をかけて加害者と被害者は、歩み寄りながらも信頼関係を築くことができなかった。これが問題を長期に泥沼化させた最大の要因だろう。
「水俣病は終わらない」 被害者団体が集会
水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済の申請期限が7月末で締め切られたことを受け、水俣病の今後の課題について考える集会が1日、水俣市であった。会場から「国は解決を先送りしている」「まだ被害が埋もれている」などの声が相次ぎ、残された課題の多さを浮き彫りにした。
水俣病被害者互助会など9団体が「水俣病は終わらない8・1集会」と題し、水俣市公民館で開催。市民ら約80人が参加した。
水俣病不知火患者会の林田直樹事務局長は「国は(期限延長のため)特措法改正や新たな立法をしなかった。解決という名の幕引きだ」と強調。不知火海沿岸の住民健康調査が実施されていないことや特措法で各市町村の申請数や救済状況を公表されないことを挙げ「被害の全容解明が重要だ」と指摘した。
患者支援を続ける水俣病センター相思社の永野三智さんは、救済対象外の若い世代からの相談が少なくないと報告。「市民がまだまだ水俣病について知らない。体調不良を訴える若い世代の今後が気掛かり」と訴えた。
国などを相手に損害賠償請求訴訟を続ける水俣病被害者互助会の佐藤英樹会長は「加害者による被害者切り捨ては許せない。闘い続ける」と強調。住民の一斉検診を実施した民間医師団らの報告もあり、国の姿勢を批判した。(辻尚宏)