中共内の権力闘争は熾烈を極めているが、巨大なギャング組織の権力闘争であり、だれがどうなろうとやることは同じなので中国国内では一般的な関心は低いといえる。中国の脅威を感じている近隣諸国においても同様だが、新指導者は存在感を示すために新たな言動や方針を打ち出し、大きな行動を起こすことは十分考えられる。欧米メディアはそこに関心を高めるわけだが、いつものごとく日本のメディアはこうした報道に消極的だ。
温家宝は14日の記者会見で、「政治改革が進まなければ中国は文革の悲劇に再度、見舞われるだろう」と言い、「党と国家の制度改革」と曖昧な表現をしながら暗に「民主化」を推進する意図を表現した。
党幹部の腐敗、汚職、そして貧富の差の拡大が共産党への怨念を植え付け、やがては鋭角的対立から社会騒擾へ発展する危険性を指摘した。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年 3月15日 通巻第3586号
温家宝首相の最後の会見は爆弾だらけ
「政治改革に失敗すれば中国はふたたび文革の悲劇に直面する」
温家宝首相、最後の記者会見で党内の守旧派をあからさまに攻撃
そして15日、薄き来(重慶市党書記)の失脚が伝えられた。米国大使館に亡命を望んで失敗した重慶副市長の「王立軍事件」は共産党始まって以来の大事件といわれた。全人代には出席し存在感を示していたものの、腹心から見限られた薄き来は失脚した。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年 3月15日 通巻第3587号
薄き来(重慶市党書記)を解任
後任は張徳江(副首相、元広東省省長)朝鮮留学の変わり種
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『中東民主化ドミノは中国に飛び火する』(双葉社新書、880円)