世界の火薬庫はイラク、アフガニスタンからイランへ。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23(2011)年 12月28日 通巻第3527号 <年末最終号>を転載

イランが国際社会を石油を武器に威嚇

「もし西側が制裁するなら、ホルムズ海峡を機雷封鎖する」

イランの第一副大統領モハマド・レザ・ラヒミは「もし西側がイランを経済制裁するならば(対抗措置として)、ホルムズ海峡を機雷で封鎖する」と発言した(アルジャジーラ、12月27日)。

イラン国営IRNAが報じたもので「一滴たりとも、ホルムズ海峡から原油タンカーを通過させない。敵の制裁目的は、この軍事的措置により潰えるだろう」
或る意味で、この発言は軍事的威嚇。NY原油相場はたちまち1バーレル=100ドルを突破した。

ホルムズ海峡を通過する石油は、じつに世界需要の三分の一を占める。
日本に関して言えば60%前後はホルムズ海峡を通過するタンカーによる。もし、ホルムズ海峡が封鎖されるような事態となれば、世界で一番悪影響をうけるのは日本である。原油価格は1バーレル=150ドルを軽々と突破することになるだろう。

ホルムズ海峡はわずか6・4キロという狭窄な海峡であり、ここを通過する原油とガスはイランのみならず、その奥にイラク、クエート、サウジアラビア、UAE,カタール、オマンがある。

単なる脅しではなかった。
イラン海軍は艦船ならびに航空機を駆使して機雷をばらまく訓練をしたのだ。「もっともイラン海軍は定期的に機雷封鎖訓練を行っており、今回が初めてではない」と軍事専門筋は分析しているものの、すでにテヘランの英国大使館を襲撃するという暴挙がおきており、英国は激怒してイラン大使館を閉鎖した。

イラン議会の多くは、海軍の軍事行動を選択すべきではないとしている。
イラン原油はEUが輸入する原油の18%、一日平均で45万バーレル。
EUの参加国27ケ国で構成するEU閣僚会議は一月にもイラン制裁案を討議するが、まだ制裁の具体的内容は俎上に乗っておらず、さらに中国がイランに「激情にかられての軽率な軍事行動」を警告している。中国も日本についでイラン原油に輸入の20%程度を依存するからだ。

世界の火薬庫はイラク、アフガニスタンからイランへ。

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