軍事ジャーナル【10月14日号】を転載

戦闘機対決F35とFA18

航空自衛隊の次期戦闘機の選定作業が始まった。候補は米国製F35と同じく米製FA18そして欧州製のユーロファイター。だが日米安保が前提となっている空自に欧州製の採用はあり得ず、ユーロファイターは単なる当て馬に過ぎない。

現在の空自の趨勢ではF35の公算が高いが、実は問題だらけの機種である。そもそもF35が最有力候補となったのは、本当の最有力候補であったF22ラプターを米国が日本に売らないと言い出したためである。

ラプターは米国が開発した最新最強(第5世代型)の戦闘機であり、日本はこれを米国のライセンスを得て日本の防衛産業で生産するつもりでいた。これは1980年代、当時、最新最強(第4世代型)といわれた米国製F15イーグルを日本でライセンス生産したのと同じ方式である。

ところが米国防総省はラプターを米国での配備を終えると、日本に売らないと宣言し生産停止とした。そして同じく第5世代で8カ国で共同開発するF35の共同開発体制に加われと勧告してきたのである。

これは、1980年代後半、日本がF2を独自で開発しようとしたところ、米国が「共同開発しよう」と横やりを入れてきたのによく似ている。米国は日本がF15ライセンス生産で培った技術で米国以上の戦闘機を独自開発してしまうのを恐れたのである。

共同開発にすれば日本が単独で戦闘機を開発する能力の育成を阻止できる。さらにF35の共同開発では部品も相互に融通し合うので、部品の供給を停止すれば戦闘機はたちまち使えなくなる。日本を米国の植民地にする有効な方策なのである。

さてこうなると残された選択肢はライセンス生産の許されるFA18のみであるが、ここにも問題は潜む。FA18は最新型の第5世代ではなくF15と同じく第4世代型なのである。今の中国の主力戦闘機はSU27であり第4世代型であるが、第5世代型のJ20を開発中であり数年以内に導入されると見られる。

FA18は第4世代と言っても数々の改修を重ねており、日本の整備能力やパイロットの練度を合わせればJ20に十分太刀打ちできる。だが中国から見れば、中国の威信をかけた最新型J20が型落ちの日本のFA18に手が出せないなどという状況を国内世論として認める訳にいかないだろう。「中国の軍隊はそんなに弱いのか」と国内に暴動だって起こりかねないのである。

つまり日本がFA18なら、中国のJ20は中国が領空と主張する空域にスクランブルしてくる日本の戦闘機に挑戦せざる得なくなる。今回の機種選定は日本が米国の植民地になるか、中国と一戦交えるかの選択なのである。

既にほとんど米国防総省の外局の様相を呈している日本の防衛省は、日本植民地化の道を選ぼうとしているようだ。そんな防衛省の諸君に私は言いたい。中国との一戦を覚悟せよ、そして敢えて型落ちのFA18を選んで勝利せよと。

 
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