辛く厳しいニュースが続いてきた中で、彼女らの活躍は間違いなく一条の光を放ったといえるだろう。
なでしこジャパン効果は、軍事面においても効果は高いようだ。

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル【7月19日号】 を転載

なでしこジャパンは日本を救うか?

米国政府は女子サッカー世界杯決勝戦に臨んで二人の要人をドイツに派遣していた。副大統領夫人のジル・バイデンとクリントン元大統領の愛娘チェルシーだ。

米国には英国のような王室が無い。だから国民的な催事にも政府要人が出るしかないが、現職が行けば政治利用だとの批判を浴びる。だから令室や令嬢が派遣されるのである。

日本では菅総理が政府専用機で応援に行きたいと駄々をこねたらしいが、もし行っていたら今回の勝利は政治的泥土に汚される事になった筈だ。

だが日本には皇室がある。この決勝に当たって、皇族のどなたかを団長にして、一般の人をまじえた応援団を政府専用機で送り、帰りは女子チームを乗せて羽田に着陸すれば日本国民さらには世界中の人々が喜びを共有出来ただろう。

もとより左翼出身の総理にそんな発想が出来る筈はなく、やはりこの国の不幸の元凶は総理にある。

「たかがサッカーにそこまでする必要はない」と言う人もいようが、どうしてこれが馬鹿にならない。ウェリントン将軍といえばワーテルローの戦いでナポレオンを破った英国の名将だが、彼はこんな言葉を残している。「ワーテルローの勝利はイートン校の校庭で決定された」

イートンは英国の名門中学・高校だが、そこの校庭で何をやっていたかと言えばサッカーであった。英国の良家の子弟は19世紀まで放課後はサッカーばかりやっていたのだ。

サッカーは武術ではないのにどうして戦争の勝利に役立つのか?そこで養われた不屈の闘志と団結力が英国民を一体化させナポレオンに立ち向かわせたからである。

今回の日本の勝利を米国民は好意的に受け止めている。その理由は軍事的なものだ。
ドイツには米軍基地がいくつもある。今回の試合を現地ドイツで熱心に観戦していた米国人の多くが実はこの基地に務める軍人・職員その家族なのである。言うまでもなく米軍基地は日本にもある。米軍は世界展開している訳で日本に駐留した経験を持つ在独米国人も多い。

そんな彼らの眼に映る日本はまぎれもなく同盟国としての日本なのであって、単なるスポーツ上のライヴァルではない。

大震災によって日本が衰退するかどうか、彼らは注目している。それは同盟国として足手まといな国なるかどうかの分れ目だからだ。この試合で日本が見せた不屈の闘志と団結力は彼らに、日本は必ずや復活を遂げるとの強い確信を与えた。

まさに、21世紀の日本の復活はフランクフルトのサッカー場で決定されたのかも知れないのである。

 
リンク
メルマガ 鍛冶俊樹の軍事ジャーナル