「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23年(2011)7月20日(水曜日)通巻第3369号 を転載

ウィグル自治区は漢族への反感が収まらず、安定から遠い

ウルムチ暴動から二年、警官襲撃など深刻な社会問題は増大中

7月5日、新彊暴動から二周年を控えた段階で、中国外務省の洪磊報道官は「事件から2年を経過したが、新疆ウイグル自治区における治安情勢は安定しており、経済は発展し、民族は打ち解けている」
とする官製の「認識」を披露してみせた。

二年前におきたウィグル族の反漢族暴動は「国内外の宗教過激派などが画策した深刻な暴力犯罪」と共産党の公式見解をあらためて指摘し、さらに「新疆の社会矛盾は他地域と同様に、高まる人民の物質的要求と、社会発展の遅れとの間の矛盾」と述べた。

ホントの話か?

二年前、実際に広東省の労働現場で不当な労働条件に不満をならしたウィグルからの集団就職組が漢族と対決、殺人事件に発展し、それがウィグルに飛び火して大暴動となった。
その民族対立、少数民族抑圧という基本構造は、なにひとつ改善されておらず、結局、党中央はウィグル自治区を十六年にわたって治め、利権を壟断して山東省人脈で固めて汚職が激しく、「新彊覇王」といわれた王楽泉を更迭して、不満の行き先をすり替えただけである。

ささくれだった対立は依然として尾を引いている。

2011年二月にアクス市でおきた六人殺傷事件では犯人にふたりに死刑判決。同年三月には「テロ行為」を働いたとしてウィグル人の若者7人に死刑判決と、弾圧は凄まじさを増している。
二年前の暴動で更迭された前書記に代わり、新彊ウィグル自治区党書記となったのは張春賢だが、彼は世論操作のためにブログを開設し、民意をきくポーズを取った。ブログに寄せられた不満は物価高への関心がトップ、民族問題はモニターされるので殆どの参加者は論じないようである。

2011年6月25日には湖南省株州市でウィグル族の出稼ぎグループと漢族が激しく対立し乱闘騒ぎに発展した。

同27日にはウルムチのアルミ工場で爆発事故があり、テロ説もあるが、ともかく三名が死亡した。

社会安定からは遠いのが現実であり、7月18日には同自治区ホータン市で警察派出所が襲撃され、人質を取って放火。武装警察などが駆けつけ襲撃犯数人を射殺した。この銃撃戦で、人質2人と武装警察官ら4人が死亡した。
ことほど左様に問題の基本は解決から遠い。

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