混乱に便乗した過大な情報戦が繰りひろげられ、何が真実かわからず迷いはじめたとき、頼りにするのが公共電波となれば、政府の発表に左右されることになる。政治家は選挙のプロであって、放射線や地震、津波や人命救助に関しては素人である。政府の発表は、国益と称しながら我欲をもつ人たちの言葉であることを前提に、冷静にとらえなければいけない。
現首相は、元々反政府・反米・反核派の運動家であり、北朝鮮の拉致実行犯の釈放要求をした人物だ。その周辺の知識人も同様の反核派であれば、事故を過大評価し、国民の恐怖心を煽り、その心理を反核に誘導するだろう。メディアはそれを垂れ流すだけだ。ドイツでは事故直後からヒステリックな報道を繰り返し、その後の選挙で、原発に反対する「緑の党」が大きく議席を増やした。事実ではなく政治的報道に徹した結果だ。
科学的根拠に基づく、正確な情報提供と対応が必要だ。各専門家による正しい知識と情報を得ることに専念したい。
札幌大学の高田純(理学博士)教授は直接現場に行き、自ら実態調査している専門家である。
1949年以降、ソ連による核実験が行われていたカザフスタンから被害調査を依頼され、2000年8月から現地での調査を行った。そして提供された資料を調査する過程で、ウイグル地方で中国が行った核実験による放射線被害が最も大きいことを知る
北朝鮮による核実験のさいには、放射線の専門家としてメディアに取り上げられたこともあったが、後に、中国共産党がウイグル地方の居住区域で行った、46回にも及ぶ核爆発を指摘し、それによる放射能被害の深刻さを公表した。以来、高田教授はメディアに取り上げられなくなった。中国に不利益な学者を、日本の政府及び大手メディアは取り上げない。
高田博士は、4月6日から青森・仙台・福島を訪問し、今回の原発事故に関して現地調査を行った。
この結果、各地域ともに放射線量は安全範囲であることがわかった。福島第一原発20km圏内の浪江町から二本松市へ避難させられた人たちの甲状腺線量の検査をしたが、いずれも安全範囲であることが確認され、避難町民らに結果を紙面で伝え、安心するよう励ました。
そして4月10日、この一連の調査結果を東京都内で発表した。
youtube http://www.youtube.com/watch?v=Un1RZfB24f8
以下、高田教授の報告をもとに、今回の福島原発に対する同氏の見解を紹介する。
現地に放置された家畜を即刻保護せよ
牛、豚などの家畜は飢えと渇きで、次々と死んでいる。死因は核や放射線ではない。政府による見殺しである。
さらに菅首相が4月22日以降、20km圏内の立ち入りを禁止し封鎖したことにより、飼い主は家畜の世話ができなくなった。ソ連政府でさえ、チェルノブイリ事故では1万6千頭の牛豚を飼い主とともに避難させている。
政府の異常なまでの介入は、福島に対する差別や風評被害を生み出し拡大させ、さらに、世界の風評被害の源泉になっている。
文科省の線量過大予測は「嘘」
報道機関は、政府の避難対策の科学根拠を検証すべし!
4月26日の文部科学省の積算線量の予測は、屋内退避の実態を考慮していない予測である。その結果、今後の年間線量を過大評価している。こうした誤りに基づいた長期避難と、今後の飯館村の計画避難に科学的根拠はない。
「現在の線量率の値は、今後もかわらず続く」とするのは嘘である。
今の線量を支配している放射性ヨウ素の半減期は8日と短く、日々の線量は今後も低下する。実際、40日間でおよそ4分の1に低下している。
20km圏内に人はいないので、今までの線量は1ミリシーベルト以下。
3月12日に緊急避難し、今も避難生活を強制させられている。今後の線量増加もない。
葛尾村や飯館村の住民は屋内退避勧告されているため、屋外にいる時間はほとんどない。
せいぜい1時間くらいが屋外時間だ。文科省は、屋外時間を8時間と計算しているが、全く現実を認識していない推定だ。
以上、高田純教授の見解を要約した。
首相以下政府要人は原発事故への発言を即時中止し、今後は専門家による冷静で的確な広報に徹せよ。でなければ「風評被害」という人災は収まらず拡大されていくだけである。
水俣病問題の解決に前進的に取り組んできた民主党は、「風評被害による苦しみや痛み、失われたものは計り知れず、永遠に償いきれない」というその教訓を忘れてはならないのだ。
転載元資料
高田純教授のサイト 日本シルクロード科学倶楽部
・文科省の線量過大予測は、嘘であり有害
・福島県飯館村 4月10日調査
・菅直人 家畜を即刻保護せよ!
・高田純教授報告会1 現地放射線衛生調査 札幌から福島