「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23年(2011)4月19日(火曜日)通巻第3306号 を転載

中国の異常なインフレは世界経済の脅威になり始めた

中国輸出産業が米国ウォルマートの注文を拒否する事態に

ニューヨークタイムズの4月18日付けは「中国のインフレが世界経済の脅威をもたらしつつある」と大きく報道している。
野菜二倍、ガソリン50%増(1ガロン380円―400円)。

インフレが猛烈となり各地に賃上げストが続き、この結果、安い労働市場だった中国の基幹が損壊された。
つまり輸出コストがあわず、米国のスーパーマーケットの依頼で生産してきた消費者物資を矢継ぎ早やに輸出を拒否するとした。100円で売ってきたが、130円でないと売れないと言っているのであり、急な価格変更は米国が困ることになる。

「インフレ率5・4%と公式数字が言うが、実態はそんな数字ではなく、もっと悪い」(カルメン・ラインハルト女史・ピーターソン国際研究所)。

中国は預金準備率をまた切り上げて20・5%とした。先月20%にして世界をあっと言わせたばかり。
それは不動産価格が前年比37%もの上昇をしめし、上海でのマンションの売り出し価格が4250万円(ひとりあたりのGDPは日本の10分の1だから、購買力平価に直せば、4億2000万円のマンション、四川省成都のマンションですら、年収の25年分。これを冷やすにはローンを厳密にして通貨供給を減らすしかない。

バブル崩壊の足音が聞こえる。

 
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