「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23年3月30日(水曜日)通巻第3288号<3月29日発行>を転載

震災後のボランティアが拡がり、友情の輪が拡がり
政府の無能だけがひたすら顕著になる日々に若者が立ち上がる

若い世代のなかには、何をして良いか分からないが、何かをしなければいけないという焦りが拡がり、ボランティアや寄付行為が拡がり、中央募金会と赤十字に寄せられた金額は未曾有の数字となり、義援金ばかりか救援物資は品目の指定があったにも拘わらず各自治体の窓口に積み上げられた。

日本人は同一民族のアイデンティティを見いだした。
これを目撃した全米最大の週刊誌『TIME』は称賛を込めてこう書いた。

「バブル崩壊後、それ以前の日本の好景気をしらない日本の若者らは右肩下がりの経済と不況と就職難の環境下、無気力に沈殿してきた。引きこもり、落ちこぼれ、親のすねかじり、フリーターの生活、将来に大きな夢を描くこともなく日々、流されるままの状況に埋没し、大学の卒業式を経てはじめて日本では大人の扱いを受ける。
そういう世代が、この災禍で人生に目覚めた。生まれて初めて人生のエネルギーを感じ、立ち上がったのだ。無数の若者がボランティアに駆けつけ、あるいは遠隔地では街頭募金に馳せ参じ、自分には何が出来るのか、いやきっと何かが出来ると信じて新しい動きを始めた。埼玉アリーナには500人のボランティア募集に毎朝、1500名が並んだ。殆どが若者だった」(4月4日号)。

日本人は精神的にまとまりさえすれば、時間はかかるかも知れないが日本の復興は約束されたようなものである。
日本の未来を悲観してはなるまい。