同様に思う人は私だけではないだろう。多くの人たちが共感すると思う。

花岡信昭メールマガジン916号 3/27を転載

なんともあやしい暫定基準値

政府の危機管理はどうなっているのか。いたずらに風評被害をあおりたてているだけではないか。

各地で放射線測定を徹底させるのは当たり前の対応だが、これまでのところ、健康にまったく害がない水準の数値を公表して大騒ぎさせている。

米ホワイトハウスが同じような立場になったら、測定値は徹底して一括管理し、発表するかどうか、きわめて高度な政治判断によって決めるだろう。これは隠蔽するという次元の話とは違う。国民にいらざる不安を与え、風評被害が起きないように配慮するのも危機管理だ。

それが、日本の場合、文部科学省やら自治体やらが測定した数値をそのまま発表し、混乱を生んでいる。枝野官房長官は毎日のように「健康被害はない」と繰り返しているが、害がないのなら、なぜ出荷停止だの摂食停止だのといった措置を取るのか。だいたいが、食品衛生法の暫定基準値というのがおかしい。厚生労働省のやることは、おかしなことばかり多いから、いまさらあやしんでも始まらないのだが、なぜ、暫定基準値をこんなに低めに設定したのか。

ついでだから、厚生労働省の「おかしな体質」について言及しておこう。ここは、もともと旧内務省の中核部隊であるはずだった。これからの日本を考えても、福祉、医療、雇用といった重要な国家的役割を負っているのだから、「三等官庁意識」を払拭してもらわなければならない。
これもよけいなことだが、霞が関では、昔から「外務、大蔵、通産」が御三家と呼ばれ、それ以外は格下に見られていた。その意識を捨ててもらわないと困る。

年金記録の紛失問題を取り上げるまでもなく、この役所のやることは無責任きわまりない。そういう体質が根付いている。だいたいが、国民年金をきちんと払い続けてきて、支給段階になったら、月に6万円ほどだが、これがまったく払わずに来て生活保護を受けたら16万円もらえるというのはおかしくないか。そのおかしさを知りながらフタをしてきたのが厚生労働省という役所である。かつての外局であった社会保険庁という、まさに「働かない小役人の集合体」の象徴のような役所はさすがに消えたが、体質は消えていない。

さらについでに言えば、年金問題がいまだに片付かないのは、歴代の社会保険庁長官(2年交代ぐらいで厚生省から出向していた)の責任を問わなかったことに大きな要因がある。歴代長官の私財を没収して生活保護で暮らしてもらうぐらいのことをやっていたら、もっとまじめに取り組んでいたはずだ。
厚生労働省の体質をしつこく指摘しなくてはならないのは、今回、問題になっている暫定規制値を決めたのが、ここだからだ。国際放射線防護委員会、国の原子力安全委員会の指標をもとに、ばたばたと決めてしまった。無責任体質がしみついている役所が決めたものだから、あとで責任を問われないようにかなり低めに設定してしまったのである。

いまになって、あわてて識者らを集めて基準値の見直しを始めたが、これだけの騒ぎを起こしたあと、基準値を上げたら国民の信頼はさらに落ちることになる。基準値を超えてもまったく害がないというのは、いったい何のための基準値なのか。

水道水の場合、ちょっと高めの数字が出て、乳児の摂食停止が指示され、翌日には低くなったから大丈夫という。こんなばかげた行政があるか。
農産物、原乳などもそうである。1か所で高めの数字(それも健康被害は皆無というレベルの)が出たからといって、その県全体を出荷停止にするというのは、混乱を助長しているだけにすぎない。

本当に国民の健康を考えているのなら、飲食禁止にしなければ害が出るというときだけ緊急告知すればいい。いまのような「オオカミ少年」的なことをくり返していたら、国民は政府も行政も信用しなくなる。たとえ「安全宣言」を出しても、そういうときのほうがあぶないと、さらに一段上の風評被害を招きかねないではないか。

<<「道徳おしつけ」のAC広告はやめてほしい>>

この大災害でテレビコマーシャルが一変した。いつもの軽いタッチのCMは流せないというので、スポンサーが一斉に引いたのだ。その代わり、ACジャパン(旧公共広告機構)製作のCMがいやというほど流されている。

なんどもなんども繰り返して放映されるから、耳についてしまい、ここで使っている詩人の本は急に見直されてベストセラーの勢いなのだという。

それはそれで結構なのだが、正直言って、小生の感性にはまったく合わない。いわば、「道徳の押しつけ」ムードが強すぎるのだ。

妊婦に電車の席を譲るとかお年寄りに手を貸すとか、友達となかよくしようとか、あいさつしようとか、当たり前の話ばかりだ。なんだか、電車の中で携帯電話の使用注意を繰り返し聞かされるような居心地の悪さ。こういう事態だといつものCMが使えないというのは、よほど軽佻浮薄なものを流していたということの証明だ。

ACのCMの最後に「エーシー」というサウンドがながれるが、あれがいやだという声が集中して、いまでは、削除されているのも多い。これも迎合的でよく分からない対応だ。このAC広告、被災者へのお見舞いの言葉を出しておくだけではだめなのか。そこに協賛スポンサーの社名をずらっと並べればいい。
ACのCMが出てくると、ついチャンネルを代えてしまうのだが、そっちでもやっていることが多くて閉口する。

以下はACジャパンがHPに載せているお詫び文。ここまでへりくだらなくてもいいかとは思うのだが、スポンサー集団にとって消費者は神様なのだ。

「東北地方太平洋沖地震」にあたって
ACジャパンのCM放送についてのお詫びとお知らせ
(社)ACジャパン

この度、東北地方太平洋沖地震で被災された皆様、ご関係者の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。
現在、民放テレビ・ラジオ各局において、震災の報道の合間にACジャパンのCMが多数放送されております。

未曾有の大惨事となったこの度のことを受けて、多くの企業が自社CM素材の放送を自粛され、ACジャパンのCMが代わりに放送されることになりました。これらのCMはかならずしも非常時に対応できるようには作られておりません。そのため、視聴者の皆様に大変ご不快な思いをおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。
CMの最後に♪エーシーという音声(サウンド・ロゴ)が流れておりますが、すでに音声削除作業を始めており、多少なりとも耳障りさは軽減されるかと存じます。
また、ACジャパンでは、「東北地方太平洋沖地震」で被災された方々を応援する臨時キャンペーンCMを企画・制作中でございます。
被災地の方々におかれましては、一日も早い復旧がなされますことをお祈りいたしますとともに、ACジャパンでは広告活動を通じて支援活動を続けていく所存でございます。
皆様には、何卒ご理解をいただきたくお願い申し上げます。

以上

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