河北新報 3月24日(木)6時14分配信
「女川原発 事故時対策拠点が壊滅 発電所で監視継続」について

この記事の内容をしっかり見ればわかるが、決して原発事故ではない。事故時に使用される対策拠点が、津波によって使用不能になったのだ。記事のタイトルが悪い。これでは「女川原発」「壊滅」というのが目に映る。こういうときは「女川原発 M9.0にも耐えた安全性 監視センターに津波被害」というタイトルで報じてほしい。安全を主張したのちに問題点や被害状況を知らせれば、不安や混乱を招くことはない。
原発関連で壊滅的な被害を前面に出したら誤解が生じ、不安と混乱を招くことになるだろう。

今回の震災のみならず、日本では地震による原発事故は過去一度もない。日本の原子力発電所では、揺れを感じたときに軽水炉を自動停止させる安全装置が作動する。これは日本が独自に開発したもので、世界に類を見ない安全装置だ。

福島の原発においても、M9.0という巨大な震災には耐えている。もちろんその前に安全装置によって軽水炉は停止している。事故はその後の津波によって起きたのだ。問題は津波への防災対策の弱さにあった。

トルコで建設中の原子力発電所には日本の技術が採用されている。今回の福島原発事故のあと、トルコ政府は「引き続き日本の技術を取り入れる」と、いち早く表明した。津波による被害よりも、M9.0という巨大地震にも耐えうる安全性を確認したからだ。事故の原因を把握した上での的確な判断といえる。日本の技術を安心して受け入れ、トルコ政府は津波などの二次災害への対策に専念すればいいのだ。世界で一番安全な原子力発電所ができるだろう。

多くのメディアは、報道スタンスをよく考えてほしい。

河北新報 3月24日(木)6時14分配信を転載

女川原発 事故時対策拠点が壊滅 発電所で監視継続

東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の事故時などに対策拠点(オフサイトセンター)となる同町の県原子力防災対策センターが、東日本大震災による津波の直撃で使用不能となっていることが23日、分かった。放射線の監視などを行う隣接の県原子力センターも壊滅的な被害で、環境放射線などを監視できない状態。いずれも機能回復のめどは立っていない。

経済産業省原子力安全・保安院によると、自動停止後の女川原発の監視は、仮のオフサイトセンターを仙台市内の仙台第2合同庁舎に置いた上で、国の保安検査官2人が女川原発内に常駐して継続している。

原子力センターの石川陽一所長によると、津波は2階建ての対策センター屋上をのみ込んだ。屋上には石川さんら関係者や住民ら約20人が避難していた。このうち対策センター内にある国の保安検査官事務所の男性所長や県職員ら数人が流され、現在も連絡が取れていないという。

オフサイトセンターは緊急時、国や自治体の関係者らが情報交換や対策を検討する拠点。発電所の状況や放射線測定値を確認できるシステムなどの設備は、津波で使えなくなったとみられる。

原子力センターも周辺に設置している7カ所の放射線測定ポイントの全てが測定不能になった。女川原発周辺の放射線は、東北電力が敷地内で測定しているデータで監視する状況となっている。

宮城県は「女川原発が安定的に停止していることを日々、確認している。福島第1原発事故の県内への影響に関する対応に追われており、女川の監視体制の再構築には時間がかかる」と説明している。