中国による尖閣諸島の領海侵犯は記憶に新しいが、数年前から行われていたことが明らかになった。こうした状況からも日米関係は緊密でなければならないのは素人目に考えてもわかることだが、民主党政権は主権と安全を放棄してまで日米関係を冷却させた。

だが、それもアメリカの国力によって修正された。アメリカは自国の利益に添ってのことだが、結果として日本は救われている。近隣からの脅威が日増しに高まっている状況で国防予算を削減するという現政権の舵取りの中に、私たちは暮らしているのだ。

今月21日、インドを訪問中のメドベージェフ・ロシア大統領は、インドのマンモハン・シン首相と会談し、エネルギー開発や第5世代戦闘機の共同開発など幅広い分野で合意した。
この両国は戦後から良好な関係にあるが、いずれも中国に対する脅威とストレスを持つ国である。中国はこの両国の間に位置している。露印という核保有国がエネルギーと軍事面による蜜月な関係をアピールすることは、中国に対する無言の威嚇となりうる。

中国は、外圧がかかればそれに応じて更に強固にでなければならない国内事情を抱えている。
緊張が絶えず高揚している状況で、日本は国防を怠ってはならない。国家国民のための予算をもって、一刻も早く国防強化しなければいけない。

産経新聞 12月31日(金)1時50分配信 

中国原潜、第1列島線突破日米警戒網の穴を突く

中国海軍の原子力潜水艦が昨年2月ごろ、九州-台湾-フィリピンを結ぶ第1列島線を突破していたことが分かった。複数の政府筋が30日までに明らかにした。沖縄県の宮古島、与那国島間を通過したとみられる。警戒網の穴を突かれたことに日米両政府は強い衝撃を受け、中国潜水艦の監視網を強化。「防衛計画の大綱」で潜水艦増隻や島嶼(とうしょ)防衛強化に踏み切る転機にもなった。

第1列島線を突破した原潜は、平成16年にグアム島からの帰路に日本領海を侵犯した際と同型の「漢(ハン)級」だった可能性が高い。16年は出港時から米国衛星などが探知し、米原潜や海上自衛隊のP3Cが継続して監視しており、ノーマークで突破されたのは初めて。

東シナ海での中国の潜水艦探知・追尾のオペレーションで、海自は複数の艦艇を配置。加えてP3C哨戒機を飛行させ、周辺海域を隙間なく監視できる態勢をとる。ところが、昨年2月ごろは原油高騰の影響もあり、海自はP3Cの飛行回数を抑え、監視ポイントも減らしていた。

中国側は偵察活動により艦艇とP3Cの監視位置を把握した上で監視網の穴を見つけ、原潜に第1列島線を突破させたとみられる。

原潜は中国・青島(チンタオ)から出港したとみられるが、グアム島近傍に進出するまで探知されなかった。宮古-与那国島間の海域は遠浅で大型原潜の潜航には適さないことから、今回の突破により、中国海軍が海洋調査により海底地形を熟知していることが裏付けられた。静粛性を高めるなど能力を向上させた可能性も大きい。

第1列島線の突破を知り、海自は即座にP3Cの監視を増強。米側も原潜のスクリュー音などを収集するため音響測定艦「インペッカブル」を投入した。

ところが、昨年3月にはインペッカブルが海南島沖で中国船舶に包囲される事件が起きた。海南島沖では中国海軍が潜水艦の地下格納施設建設を進めており、インペッカブルのソナーを外そうとするなど激しく妨害、米中間の緊張が一気に高まった。

第1列島線は中国海軍が有事の対米防衛ラインとして設定した。2010年までに第1列島線内の制海権を確保し、2020年までに伊豆諸島-グアム、サイパンを結ぶ第2列島線までの防衛ライン拡大を狙う。中国は沖縄本島~宮古島間の海域を押さえ、宮古島以西の日本領土分断を狙うとの指摘もある。

■その他資料
AFP 2010年12月21日 
印露、原発建設や次世代戦闘機で合意