花岡信昭メールマガジン865号 を転載
菅政権が臨時国会を乗り切った理由
臨時国会は当初の予定通り、3日に閉幕した。補正予算も成立した。
菅政権はガタガタだが、予算を成立させたのだから、いわれるほどへたってはいない、という見方もできる。
政府提出法案の成立率はここ10年で最低の37・8%だが、補正予算成立ならあまり支障はない。支持率急落というのに、なぜこういう展開になっているのか。
この臨時国会のポイントはいくつかあるが、ひとつは、とかく問題発言の多い仙谷由人官房長官の不信任決議案を衆院で提出したことだ。11月15日である。
自民党の国会対策の失敗であった。不信任案は民主、国民新党の連立与党に社民党も加わって否決された。
否決されることが分かっているのになぜ提出したのか。不信任案が否決されたのだから、仙石氏は「信任」されたということになる。
その後、野党多数の参院で問責決議案が可決されたが、衆院段階で「信任」されているのだから、怖くも何ともない。この翌日、16日に補正予算案は衆院で可決され参院に送付された。
野党側がハラを固めて、この政権を倒そうとするのなら、あとは参院段階で予算案をたなざらしにする以外にない。
そうすれば自然成立まで30日必要だから、菅首相は大幅延長を余儀なくされたはずだ。自然成立期間は国会が開かれていないと適用されない。
それを11月26日、参院で採決してしまった。当然、否決ということになるのだが、衆参の議決が異なった場合、両院協議会が開かれ衆院の議決を優先させることになっている。かくして、補正予算はなんともあっけなく成立した。
ここが野党の国会対策の致命的なミスだ。参院でたなざらしにしておけば、12月中旬までの大幅延長となり、来年度予算の越年編成という事態に持ち込むことができた。
政権を追い詰めるには、それだけのハラを固めなくてはならない。朝鮮半島情勢が不穏になり、さらに、景気の足を引っ張るのかといった批判を恐れて、野党は大人の対応を取ってしまった。これでは政変を起こしようがない。
小沢氏はそういう政治状況をじっと見つめている。来年の元日も私邸での新年会をやるのだそうだ。さあ、どう動くか。
関連リンク:花岡信昭の「我々の国家はどこに向かっているのか」
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