緊張する北朝鮮を相手に精一杯なのか、尖閣諸島にかまっていられない様子だ。どうにもできない状態で日中関係を冷え込ませ、再び棚上げなどと鄧小平もどきの独り言で国内世論をかわすのか。ついこの前は「対日戦争準備をしろ」などと誰かが言っていたが、そんなハッタリも言えなくなった。中国は北朝鮮に怯えている。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年3月12日 通巻第3900号 を転載

習近平の軍師が尖閣問題に言及

習近平の軍師、尖閣諸島は国家の威信をかけた闘いに値せず
両国はメンツにとられているが「戦争で解決する問題ではない」

「軍師」が尖閣問題で重い口を開いた。
香港の有力紙『星島日報』(3月11日)は人民解放軍総後勤部政治委員、劉源上将が「尖閣諸島をめぐる日中間の対立は両国が「メンツ」にこだわっての「意地を張り合い」でしかなく「戦争で解決するような問題ではない」と発言した。

劉源は事実上の習近平の「軍師」。したがってこの発言は重要である。劉源はいうまでもないが、故劉少奇元国家主席の息子。習近平の先輩。幼なじみ。
軍に根強い日本との開戦論を戒める意図を持ち、軍内の「理論派」を代弁している。

劉源は同紙のインタビューに続けて、「両国は知恵を出し合って問題を解決するべきであり、どうしても解決できないのなら問題を後回しにし、よく話し合うべきだ。人類の中で最も極端で最も暴力的な方法を使うまでもない」とした。

 
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