昨年のミサイル発射も同様だが、もはや最大の防御は先制攻撃ではないか。
メディアでは専門家らが、制裁には正当な理由が必要だ、攻撃には近隣諸国への影響があるので不可能、などという。だが、イラク攻撃は無理やりやな理由をつけ、国連ではなく「多国籍軍」という仲良しクラブで行った。つまりやる気次第だ。

イラクと北朝鮮の決定的な違いは、近隣国の協力を取り付けられたイラク攻撃に対し、北朝鮮の場合は中国とロシアという常任理事国が国境を接しており、双方ともに非協力であることだ。また、中露韓の共通認識として、北朝鮮の崩壊によって社会情報を遮断されてきた人民が国境を越えて自国になだれ込んでくる事態はどうしても避けたいだろう。そして空白となる領土の覇権をめぐり米中露にとって新たな紛争にもなり、この三国にその覚悟ができるかということも焦点になる。

同盟関係や近隣諸国との連携も大切だが、被爆国であり拉致被害者としての日本の決意を世界に示すことが重要だ。

 
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年2月13日 通巻第3876号

北朝鮮の核実験成功をどう読むか
小型化に成功した事実は軍事的脅威が数倍増した意味である

2013年2月12日正午前に、北朝鮮は3回目の地下核実験を強行した。12年12月には長距離弾道ミサイル発射に成功しているため、これで北朝鮮は米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)保有に向けての軍備を整えたとみられる。

世襲の絶対権力を中国に認めさせた北朝鮮は強引に核実験を推進させ、世界から「ならず者国家」と言われながらも、国内的には「金正恩同志の軍事、科学技術での卓越した見識が偉大性を体現している」などと獅子吼した。
つまり、祖父の金日成に体形からヘアスタイルまで似せ、整形して風貌まで酷似させて偉大な指導者、カリスマという印象を振りまいてきた北朝鮮は、先軍思想一筋に、核兵器開発と近代化にまっしぐらに邁進してきたのである。

さて筆者は従来の北朝鮮の核弾頭を、巷間いわれるほどの軍事的脅威とは捉えて来なかった。
核実験に成功しても中枢は核弾頭の小型化である。
次の小型化は到底無理であろう、あと少なくとも五年を要するだろうという基本的予測のもと、北朝鮮がたとえ核兵器を保有しても、(1)小型化(2)搭載技術(3)ミサイルの固体燃料化という三つのハイテク技術の実現は無理だからである。

ところが、今回の実験は核弾頭「小型」化に成功しているのである。これは画期的であり、軍事的脅威が数倍すすんでしまったという意味である。
次の段階は、はたしてこの小型格をミサイルの戦端部分に搭載できるか、いなか。

その次がミサイルの推進飛翔のための燃料を現在の液体燃料から、いつ固体燃料にできるか、というポイントである。

北朝鮮のミサイル実験の影像を注視されたい。
発射台に設置してから液体燃料の注入に数時間から数日を要しているように、このレベルでは、発射台にミサイルがおかれた状況を上空から偵察している米国のスパイ衛生が捉えれば、先制攻撃が可能である。

しかしもし北朝鮮が固体燃料化に成功するとなると、話はまったく別で、発射台に据え付ければすぐに発射が可能となる。

おそらく、これらの技術を取得し、本物の脅威となるにはあと数年を要するだろう。
さらに「その次の技術的難関は、地下サイロ化、要塞での核搭載ミサイルの移動と、いきなり発射できるという、いまの中国が持っている高度な要塞型発射システムである。

しかし、筆者は北の核ミサイルの脅威の進捗度を上方修正する必要があると考えており、さらに迅速に上記技術がすすむとなれば、イランの核施設に米国とイスラエル共同でウィルス攻撃に成功し、コンピュータシステムの破壊に成功、イランの核武装を数年遅らせたよう、なんらかの先制攻撃的対応が必要になったことは事実である。

 
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