シャープの株式取得で揉めている台湾企業「鴻海」が中国内にある主要工場を閉鎖した。賢明な判断に共感するが、台湾企業とはいえ経営者は元中国人で、支那社会の生き方を熟知している。主力工場を閉鎖しても依然数十万人の雇用を維持している。失業者があふれている支那政府とは水面下で強い交渉をしているのだろう。この点に関しては日本企業も見習うべきだが、それができないのなら速やかに支那社会から撤退すべきだ。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成24(2012)年9月25日 通巻第3766号 を転載

鴻海、その決断の早さ。中国工場を閉鎖決定
従業員二千人が乱闘、40人負傷。アイパッドの主要生産工場から撤退

焼き討ちされても、まだ中国に未練をもつ日本企業が多い中、台湾系の「鴻海精密工業」は、その中国子会社「冨士泰」(FOXCONN)のアイパッド生産主力工場だった山西省太原工場を閉鎖すると発表した。

もともと賃上げを求めて発生した従業員二千人の大乱闘事件。この暴力行為は三日間続き、あまりの工員等のレベルの低さと度重なる賃上げにネをあげて、鴻海は撤退を決めたのだが、これは日本企業にとって格好の参考材料とならないか(もっとも鴻海は中国全土にあと30の工場をもち、全中国の従業員は54万人)。

鴻海は、日本でもシャープの株式取得で大騒動を引き起こしている張本人。約束したシャープの株式を土壇場で値下げさせようと、郭台銘社長の、そのしたたかな、或いはいかにも中国的なえげつなさにシャープ側もむくれている。

国産半導体の企業「ルネサス」の買収を謀ったKKRという強欲ヘッジファンドを前にようやく日本は官民一致して立ち上がったようにシャープを外国資本の買収から守ろうとする運動もおこす必要がある。

GMをなぜ米国政府は救済したか。JALは、いかにして再建されたか。
繁栄に驕慢となった肥大化して一極集中し、中韓の攻勢に失速した日本企業も正念場である。

 
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