震災から3ヶ月たち、いまだに公民館や体育館で避難生活をしている被災者がいる。強制避難させられている人たちは家を失い、財産を失い、ストレスやその他の病気で死んでいる人もいるという、先進国とは思えない惨状だ。これは自然災害に対応できない政治的人災と言わざるを得ない。

田母神俊雄公式ブログ 2011-06-28  を転載

放射能認識が国を滅ぼす

福島県では8月から今後30年にわたって200万県民の放射能被害の発生状況について調査が行われることになり、6月27日に一部の人たちに対する、先行調査が始まった。また先週から福島県の小中高校生は、県外の学校への転校を希望する場合の申込書の申請が始まった。佐藤雄平知事が、他の都道府県に受け入れのお願いをしているという。また知事は「いまは放射能による被害が顕在化していないが20年後、30年後が心配だ」と東京電力の責任を徹底的に追及しようとしている。現在の福島原発周辺の放射能強度でそんなことが起きることは絶対にない。知事の放射能に対する無知には県民も苦しめられている。福島県民が苦しんでいる原因は、原発の放射能漏れにあるのではなく、危険でもないのに危険だとわめきたてる菅総理や佐藤知事にあるのだ。放射能の健康調査をすれば、現状が危険だと思わされている福島県民は安心するかもしれないが、その他の都道府県や我が国以外の人たちに対し、全県民の健康調査をするほど危ないのかと誤った認識を与えてしまう。福島県は危険だ、日本は危険だという認識が世界中に広まれば、誰も福島県に来なくなる、誰も福島県のものを買わなくなる。福島県の、そして日本の衰退が始まるのだ。

学校では先生が生徒たちに、「原発の放射能を受けた私たちはみんなあと20年で死ぬことになるので、その覚悟で生きるように」と指導しているそうだ。また私の知り合いの女性は、別に身体に何の異常もないが、福島原発の近くに住んでいたという理由で婚約が破談になった。さらに出産を控えたいわき市のある妊婦は、出産のために会津若松市の病院に転院を希望したところ、なかなか受け入れてくれる病院が見つからなかった。やっと見つかったが、大部屋では他の人たちに放射能が移るからという理由で個室に入ることを要請され、毎日1万2千円の差額を支払う破目になった。初孫ということで、いわき市から妊婦に付き添いのため会津若松市を訪れた両親は、放射能が移るという理由で何軒ものビジネスホテルなどから宿泊を断られた。やっとのことで東山温泉の高級旅館に宿泊することができたが、出産にかかわる出費も合計で100万円にも達することになった。

また私の知り合いのある牧場では、2,500頭もの肉牛を育てているが、一部の牛舎が避難対象となり、相当数の牛が無理やり処分を迫られることになった。処分される牛たちはみんな元気だというのに。さらにある豚牧場では、豚舎は計画避難地域にかかるが、200メートルほど離れた自宅は避難地域にかからないということで、悩んだ末に豚舎のみ長野県に移転することになり、お父さんの単身赴任が始まった。家族が別れて暮らすことになってしまった。
きゅうり、トマト、キャベツなどの農作物は放射能に汚染されているということでどんどん捨てられ、さくらんぼなどの出荷も出来ない。米の作付けも今年は出来ない農家も多かった。一味違う小名浜の鰹の刺身も今年は食べることも出来ないか。

このような中で菅総理や福島県知事などが先頭に立って福島県民にそして日本国民に放射能の恐怖を煽っている。福島原発の事故では、現在まで放射能で死んだ人は一人もいないし、放射能で障害を受けた人も一人もいない。放射線医学の研究者の中は、現在の福島原発周辺の放射能の状況は危険ではないし、これからも死亡者や障害者が出る可能性はゼロに近いと言っている方もいる。それにも拘らず政府の決めた放射能の基準が厳しすぎるために、そして政府や福島県が防護服の着用や200万県民の健康調査など不必要な施策を実施するために、福島県民は放射能の恐怖に苦しめられている。

原子力工学の専門家で現状を危険だという人がいるが、この3ヶ月の状況は放射線医学の研究者が言っていることの方が正しいことを証明している。6月下旬になって政府が公表した数値では、東京電力の被災現場で作業中の人たちは、累積で9人が250ミリシーベルト以上の放射線を受けている。そのほかに8人が200ミリを超えている。そのほかに107人が100ミリを超えている。一番多く放射線を浴びている人は680ミリを超えているという。そしてこれらの人たちの中で放射線障害の症状は誰一人出ていないのだ。政府は作業に当る人たちの累積放射線量を250ミリを限界値としていたので、東京電力の放射線管理体制が甘いということで東京電力に注意するとか言っているが、政府が決めている20ミリシーベルトで福島県民を強制避難させるという基準の見直しをしてはどうなのか。100名以上もの人が100ミリシーベルト以上の放射線を3ヶ月で浴びても全く障害が出ないときに、年間20ミリシーベルト浴びる可能性があるので避難せよというのは全くおかしいと思う。強制避難させられている人たちは家を失い、財産を失い、ストレスやその他の病気で死んでいる人もいるのだ。政府が20ミリシーベルトの避難基準を60ミリシーベルトに変えただけで福島県で現在避難させられている人はみんな家に戻ることが出来る。

政府の発表とは別に6月に入ってテレビのニュースで今回の放射線被害について、二つの民間の調査結果が発表された。東大医科学研究所の上(かみ)准教授は、原発作業員など数百名の血液検査を行ったが、一人の異常もなかったそうだ。また北里大学医学研究者の有志による赤ちゃんに母乳を与えている福島県浜通りの女性100名の母乳検査が行われた。これも一人の異常もないということである。

菅総理も佐藤知事も少し考え直して福島県民や日本国民を虐めることを止めたらどうか。総理や知事の責任は放射能障害を避けることではなく、日本国民や福島県民の生活を守ることである。しかし現在の政策目標は、放射能被害を避けることであり、そのためなら人が死んでもしょうがないということのようだ。

放射能認識は第二の歴史認識だと思っている。いま日本国民は「日本の国は悪くなければならない、放射能も悪くなければならない」と思わされている。真実の歴史を知るとともに、放射能の科学的真実を知らなければならない。放射線は3分、5分、60分などの短い時間にどれほど浴びるかが問題であり、累積放射線量は意味がない。1トンの力で肩を叩けば骨が折れてしまうが、子供が1回100グラムの力で肩を1万回叩いても累積では1トンになるが骨は折れない。放射線とはそういうものだ。年間累積20ミリシーベルトで避難せよというのなら全国のラジウム温泉、ラドン温泉は全て閉鎖になる。1リットル中に300ベクレルの放射能を含む水を飲むと危険だという政府の基準があるが、新潟県のある温泉では現地の人たちは何十年も温泉水を飲み続けているが、その温泉水には700ベクレルの放射能が含まれているという。先月、文部科学大臣が学校の放射線を年間1ミリシーベルト以下に抑えると決めたが、我が国の自然放射線はそれよりも高い。低線量率の放射線は身体に有益ではあっても害を及ぼすことはない。我が国は如何なる放射能も悪いという放射能認識を改めないと第三の敗戦を迎えることになる。これはまた我が国の核武装を封じるための形を変えた反核運動でもあるのだ。

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