「宮崎正弘の国際ニュース.早読み」
平成25(2013)年6月25日 通巻第3971号 を転載

「七月危機」説を前倒し?中国バブル崩壊
銀行とりつけ騒ぎの噂、株価は大暴落を始めた

いよいよ中国経済のバブル破綻が鮮明になった。
先週来、短期金利の急騰、中央銀行の引き締め政策によって詐欺的な理財商品が出回り、シャドーバンキングの暗躍が伝わり、とうとう上海株式指数は6月24日に2000を割り込む(1963.24ポイント)という大下落ぶり。
とりわけ中小の銀行株は30%の暴落を示した。

六月末に償還時期をむかえる「理財商品」は邦貨換算で24兆円。ちなみに理財商品の総額は340兆円を超えており、通貨供給はGDPの二倍、1700兆円を越えている。

中国人民銀行(中央銀行)は不良資産が多く経営の怪しい銀行への資金供給をおこなわない方針といわれ、このため先週の金利市場は大荒れの乱高下を繰り返した。
20日の短期金利は11.6%、翌日は14%を超した。ことしのGDP成長予測が7.5%で、金利が14%なら、すでに経済活動は成立しない。
くわえてこの状況に金融界幹部の審査、尋問中が1000名前後、すでに失脚が二十名以上で伏魔殿の不正撲滅に辣腕をふるいつづける王岐山は、習近平からの同意を得ている。

中国国内でとびかう噂は銀行取り付け騒ぎ、大暴動、社会騒乱である。
じつは、こういう事態の当来は数年前から予測されていた。共産党はそのために「国家総動員法」を制定し、万全を期した。つまり、外国駐在の中国人も命令によってスパイ活動、破壊活動をおこなう義務があると解釈されて、日本では脅威といわれたのだが、この国家総動員法の優先順位は「金融」危機への対処である。銀行に取り付け騒ぎが起きたときに軍隊が出動できるという法的淵源なのである。

「七月危機説」にどう対応するのか、注視する必要がある。

 


 
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