中共を警戒し、支那人社会を受け付けないのは、もはや世界的常識のようだ。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25(2013)年8月30日 通巻第4009号 を転載

中国が異様な関心を注ぐ「北極圏航路」は何のため?
しかし同時に資源派の汚職が絡んで権力闘争の様相も

最初に注目しておくべきは「北極海航路」のことである。
アイスランドの北極海に面した凍土を、怪しげな中国人が広大な土地を購入し、「リゾートとして開発したい」と騒いだ。後日、この男は中国共産党幹部であることが判明した。
氷の土地にいったい何のリゾート?動機が極めて怪しくアイスランドは売却に消極姿勢、この話題は世界のマスコミも報道した。

北極海には石油、ガスが大量に埋蔵されており、2011年にプーチン大統領は極東開発の大号令に続いて、「北極海開発」を叫んだ。厳密には2012年APEC総会をウラジオストクに誘致したためである(蛇足、その前年に取材に行ったが、無人島をいそいで開発中だった。冬季オリンピックのソチも現在急遽開発中だ)。

「北極海航路」の開発が本格化した。
夏のあいだ、氷が溶けて大型船舶、貨物船が北極(大半がロシア領海)を通過し、ベーリング海峡からロッテルダムまでの輸送ルートが確保されると、スエズ運河経由より時間が二週間ほど節約される。
運送費の関係からも魅力的なルートであるため、すでに2011年に34隻、12年に46隻、13年は地球温暖化の影響もあって8月下旬現在で450隻もの輸送船が北極圏航路を使用した(と言ってもうスエズ経由は17000隻で、問題にはならない)。

この北極圏航路におおいなる感心と野心を示したのが中国である。
中国は大連からベーリング海峡を経て北極圏航路をとおりぬけ、オランダのロッテルダムへ到る試験航海を開始した。ウクライナから砕氷船を購入し、最初の貨物船「永盛」(19461トン)が8月8日に大連を出航した。9月11日にロッテルダムに入る予定が発表された。

さて北極圏をのぞむロシア
沿海州から極東にかけて、森林伐採やインフラ投資、農務作業のため、中国黒竜江省からやってくる季節労働者は年間6-7万人に達するといわれ、かれらは夏の間、ロシアで農業労働として雇われる。

▼ウラジオストックのチャイナタウンは寂れているが。。。

シベリア地区は、スラブ系人口の大幅な減少にともない、中国人労働者を歓迎する風だった。北朝鮮からの労働者はウラジオストックあたりでも目立つが、同市とナホトカのチャイナタウンは見窄らしいほどに中国人が少ない。

風向きがかわった
数年前、ロシアの首都モスクワのバザールから華僑、中国人移民のなかの不法滞在者を一斉に摘発し国外追放した事件があった。それば、昨今では合法移民でもかまわず、ロシア人の間に「中国人排斥」の気運が高まってきた。

ロシア当局は「中国人は群れて特定の地区に住み、あまりに文化程度が低く、教養がないばかりか、犬を食し、不潔である。そのうえ犯罪者集団を形成し、インチキな保証人制度をつくり、怪しげな弁護士が活躍し、風俗営業が拡散したうえ国際的な詐欺集団など治安も悪化している」として、その中国人との、あまりの文化の差異にモスクワ市民が反発してきた。

メドベージェフ首相は「チャイナタウンの取り締まりを強化する」としているが、ロシアは石油とガスの高騰による好景気で、すでに700万人の移民があり(多くはウクライナ、ベラルーシのほかキルギス、ウズベキスタンなどの技術者がガス、石油産業のエンジニアとなっているため)、これまでに中国人移民も大目にみてきたのだ。

ロシア人の多くは沿海州や極東シベリア開発に興味を抱かないが、モスクワとその周辺に於けるチャイナタウンの形成、「唐人街」「中国城」の建設を「黄禍」としての脅威視が強まったのである。
なぜならチンギスハーンの侵略以来、ロシア人は、「タタールのくびき」という強迫観念に取り憑かれているからだ。このロシア人の体質に深く染みこんだチャイナ嫌いが、食文化がまったく違う中国人の大量進出を前に、脅威を抱くのは当然であろう。

 


 

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