「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成25年(2013)5月20日 通巻第3944号 を転載

ミャンマーで反中国活動が本格化、環境保護のパイプライン、鉱山開発に反対
アウンサンスーチー女史の対中協力姿勢にも多くの住民団体が反発しはじめている

ミャンマーのティン・セイン大統領が18日に訪米、ホワイトハウスでオバマ大統領と会談する。
制裁していた国とは思えないほどに米国は異常な歓迎ムード、ミャンマー大統領を赤絨毯で迎える。

一方、わが安倍首相は数十名の財界人をともなって5月24日から三日間、ミャンマーを訪問する。34年ぶり。日本外交の劇的な変化といえるだろう。

落ち着きを失ったのは北京である
これまでミャンマーに梃子入れし、子分のようにあしらってきたミャンマーが、こともあろうに米国と結び、中国が投資したダムの建設を突如中止し、この先、中国がすでに数十億ドルを投じたいくつかのプロジェクトにも暗雲がさしているからだ。

第一にミャンマーの南北を縦断する900キロのパイプライン敷設工事が年内に完了し、本格的なガスの輸送が始まる。ベンガル湾から延々と雲南省へ敷設したパイプラインはミャンマーの山岳部、とりわけ少数民族の居住地域を通るため、破壊活動のリスクが一気に表面化した。

第二に中国国有企業ノリンコ(軍部経営の武器輸出会社)の子会社、万宝集団が開発するミャンマー銅鉱山の補償金をめぐって地元民は「補償金が少ない上、自然環境を破壊する。公害対策がなっていない」として立ち上がった。

反対派には長くミャンマー軍事政権に対抗し、タイへ亡命していた民主団体が加わっており、指導者は「スーチー女史の対中国協力姿勢にも問題がある」と批判的である。

 


 
リンク
宮崎正弘の国際ニュース・早読み
宮崎正弘のホームページ

<宮崎正弘の最新刊>
中国の「反日」で日本はよくなる