特措法救済あす申請期限水俣病事件大きな節目
水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済は31日、申請期限を迎える。2004年の関西訴訟最高裁判決を機に救済を求める未認定患者が急増。その動きを受けて始まった今回の救済策には申請が相次ぎ、被害の全容は見えていない。救済の門戸を環境省が閉ざすことで、水俣病事件は大きな節目を迎える。
救済を求める未認定患者が急増したのは、最高裁判決が国の水俣病認定基準より幅広く被害を認め、基準見直しへの期待が高まったため。しかし国側は基準を見直さず、現行の認定制度を前提とした特措法が09年に成立。10年5月、同法の救済手続きが始まった。
特措法は救済手続き開始から3年以内をめどに対象者を確定するとしており、環境省は今年2月、申請期限を7月末と公表。以降、申請が急増し、月千人以上の申請が続いている。今年6月までの申請件数累計は、熊本、鹿児島、新潟の3県で計5万7589件。
特措法の救済対象外地域などで潜在被害者掘り起こしを進める水俣病不知火患者会などは、「被害者が残されている」として期限見直しを要望。新潟県知事や新潟市長、安田公寛天草市長ら自治体首長からも見直しを求める声が相次いでいるが、環境省は申請受け付けを締め切る構えだ。(石貫謹也)
※特措法の申請希望者は31日までに、給付申請書だけでも提出が必要。熊本県や不知火海沿岸の市町の窓口は同日午後5時15分まで受け付け。郵送の場合は当日消印有効。県水俣病保健課TEL096(333)2306。