水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済が急がれ、今までにない大規模な集団検診が行われている。新たな申請者は過去最高となり、今後も更なる増加が予想される。「未認定者の救済」という過去にない斬新な対策に大きな進展を感じたが、ここにきて「申請期限」というのが新たな問題として提議されている。求める者と求められる者たちの、歩み寄りと駆け引きはこれからも続く。政治や社会問題とはそういうものだ。

くまにちコム 2012年07月01日 を転載

水俣病救済、申請期限まで1カ月 特別措置法

水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済の申請期限として環境省が定めた7月31日まで、残り1カ月となった。月に千件以上の申請が続いていることなどから被害者側は期限撤回を求めているが、同省は応じる姿勢を示していない。

特措法は、救済手続き開始から3年以内をめどに対象者を確定すると規定。2月、細野豪志環境相は「周知に6カ月、対象者判定に9カ月必要」として、7月末の申請期限を発表した。

特措法の救済は、汚染魚を多食し手足先などの感覚障害が認められた人に一時金210万円などを支給する。熊本、鹿児島、新潟の3県によると、2010年5月の救済手続き開始から今年5月までに、5万5692人(うち熊本県3万6857人)が申請した。

このうち今回初めて救済を求めた新規申請は2万2909人(同1万1803人)。期限が発表された2月以降、それまでの水準を上回る月千件以上の申請が続いている。

潜在被害者の掘り起こしを目指す民間医師団の集団検診も続いており、24日には過去最大規模の1397人が受診。9割近くの受診者に水俣病と診断できる感覚障害のあることが確認された。

期限撤回を求めている水俣病不知火患者会の大石利生会長は「あたう(可能な)限りの救済という法の趣旨に照らせば、被害者がいる限り期限を延長すべきだ」と話している。(石貫謹也、辻尚宏)

 
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