熊本県山鹿市の小学校で、水俣病の胎児性患者3名による、肉体的・精神的被害を教訓にした交流授業が行われた。
風評被害というのは無知から生じてくる。またそれを放置する社会環境が更に被害を拡大していく。重要なことは子どもたちへの正しい教育と、それを推進する大人たちの意識だ。こうした授業は全国的でなければいけない。
水俣病の教訓学ぶ交流授業 山鹿市の平小城小
山鹿市の平小城小(島田俊一校長、44人)で24日、水俣病の胎児性・小児性患者が被害や教訓を児童に伝える交流授業があった。水俣市の中学生がサッカーの試合中に「水俣病、触るな」と差別的発言を受けたことがきっかけで県が昨年度から始めた。本年度は同小を皮切りに県内22小中学校を巡る。
県の委託を受けた水俣市の小規模多機能事業所「ほっとはうす」(加藤タケ子施設長)の永本賢二さん(52)と金子雄二さん(56)、長井勇さん(55)の胎児性患者3人と、小児性未認定患者の山添友枝さん(60)、加藤施設長が来校。4~6年生に自らの経験を語った。
永本さんは「『補償金で何でも買えていいね』と言われ、たくさん傷ついた。だったら体を返してくれと言いたかった」との思いを吐露。山添さんは、体が弱く小学校に通えなかった経験を振り返り「50歳を過ぎて算数と国語の勉強を始めた」と話した。
6年生の塚本一政君は「患者さんたちがいろんな症状を抱えながらすごく頑張っていて、もっと水俣病のことを知りたいと思った」と話していた。
次回の交流授業は29日に嘉島町の嘉島中である。(岩下勉)