くまにちコム 2011年10月24日 から転載
水俣病・溝口訴訟控訴審が結審 福岡高裁
水俣病の認定審査に必要な病院調査を放置され、棄却処分となった故溝口チエさんの次男秋生さん(80)=水俣市=が、熊本県による処分の取り消しと認定義務付けを求めた訴訟の控訴審は24日、福岡高裁(西謙二裁判長)で最終弁論があり、一審判決から3年9カ月ぶりに結審した。判決は来年2月27日。
双方が最終準備書面を提出した。
溝口さん側は、病院調査放置について「認定制度の崩壊が確認されるべき」と主張。県側がチエさんの感覚障害を否定していることには「(生前の)チエさんを直接診察した医師の診断が否定される根拠はない」とした。
一方、県側は病院調査について「生存者の認定申請に対する処分を優先せざるを得なかった」と釈明。感覚障害については「仮に感覚障害があったとしても、慢性腎臓病に起因するものと考えるのが合理的」と主張した。
チエさんは1974年に認定申請し、3年後に死亡。県は死後17年たって、生前に受診していた病院を調べたが既にカルテは消失。95年に「判断できる資料がない」として棄却された。同訴訟は2001年12月に提訴。08年1月、熊本地裁判決は「水俣病と認める証拠がない」として、溝口さん側の請求を棄却した。(石貫謹也)
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