中国のバブル崩壊は各方面からいわれていたが、独裁国であるがゆえにその情報が公表されることなどなかった。ここにきて中国内部から具体的な数字が見えてきたが、実際にはその数倍と考えるべきだろう。
~誰よりも中国を知る男~石平氏の解説に注目したい。

石平(せきへい)のチャイナウォッチ
2011/09/15 を転載

不動産バブルの崩壊はついに始まった

本コラムはかねてから「バブルの崩壊が近づいている」との予測を立てていたが、9月に入ると、この予言は早くも目の前の現実となり始めた。

9月6日付の「新京報」などの北京の地元紙は北京の不倒産市場の動向にかんする衝撃なニュースを伝えた。

北京市内の不動産物件の平均価格は9月4日までの一週間、何と12.4%も下落したという。一週間の間に不動産価格が1割以上も落ちてしまうとはまさに「暴落」というべき異常事態の発生であろう。どうやら不動産バブルの崩壊は首都の北京から始まっているようである。

同じような現象は上海や深センなどの大都会でも見られている。

9月14日付の「上海証券報」は、「不動産価格の下落が広がる」とのタイトルの記事を掲載して上海の不動産市場の状況をリポートしているが、それによると、今年以来の販売不振と在庫山積が原因で上海でも不動産価格下落の動きが広がり、一部の物件の下落幅はすでに10%を超えているという。

それに先立って、9月7日付の「毎日経済新聞」という経済紙は深センにおける不動産価格下落の動きを伝えているが、その一例として、深セン市内の「蘭亭国際名園」という名の分譲住宅物件は1平米にして7000元(約84万円)の値下げを断行した実例を取り上げている。その値下げ幅は20%を超えているという。

こうした価格下落の動きと同時進行的に、全国的な不動産販売件数の急減が加速化している。

中国指数研究院という公共機関が9月15日に発表した数字によると、9月5日から11日までの一週間、研究院が観察対象にしている中国の35の都会のうち、19の都会で不動産販売件数の急減が見られて、その内の11の都市での減少幅が30%以上であるという。

その中では、深センでの現象幅がもっとも激しく60%を超えており、北京・南京・重慶・杭州・上海のそれが悉く30%となっている。

市場はそこまで冷え込むと、それらの都市での不動産価格のさらなる下落はもはや避けられない。

中国の不動産バブルの崩壊は今後において確実に進行していくのであろう。
今度こそ、「狼」は本当にやってくるのである。

( 石 平 )

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