台湾最大野党民進党の蔡英文党首は、来年一月の総統選挙に向け副総統候補に蘇嘉全秘書長を指名した。
総統選出馬を表明しながらも副総統候補なかなか決まらない状態が続き、やや低迷感があったが、今回の発表を機に世論は盛り上がるだろう。次期総統選挙への拍車がかかり、台湾人の台湾に対する帰属意識を象徴する、政治のダイナミズムに期待したい。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成23(2011)年9月13日通巻第3421号 を転載

台湾最大野党民進党、蔡英文党首は副総統候補に蘇嘉全秘書長を指名
国民党支配の大陸寄り、閉塞政治に突破口。予想外の政治力を発揮し始めた

意表を突く人選。党内四大派閥の均衡を軽々と破って、清新でダイナミックな候補者を選び得た、これは因習と派閥の対立という民進党の宿痾をいきなりぶち破った快挙ではないのか。
旧来の因習に捕らわれがちだった政治概念を吹き飛ばし、伝来の派閥対立をいきなり乗り越えたわけで、蔡英文党首に、それほどの決断力があるとは、失礼ながらいままで感じたことはなかった。

副総統候補に蘇嘉全(陳水扁政権で内務大臣、農林大臣)を選んだのだ。台湾政界に一種衝撃と清涼感をあたえ、蔡英文党首はさっと訪米の旅にでる。しかも米国では国務省次官クラスが歓迎する。
この意味は訪日したら外務次官が公式に会見すると同様であり、外交的に台湾を承認していない米国も「英断」である。

民進党はさきの党大会までに2012年1月に行われる次期台湾総統選挙の「副総統」候補を決める日程を先延ばしにしてきた。
有力候補といわれた蘇貞昌、前回惨敗した謝長挺も、この「若返り人事」で、いきなり世代交代となり、党内に若者達の登場となる。

筆者は次期総統選挙、国民党が逃げ切るだろうと、これまで判断してきたが、民進党の意表を突くフレッシュなコンビによる挑戦という新段階をむかえて、予測を変更する必要を感じている。

リンク
<次期総統候補 民進党党首>蔡英文(さい えいぶん
<次期副総統候補 民進党秘書長>蘇嘉全(そ かぜん)
<東京外国語大学 小笠原 欣幸>2012年台湾総統選挙の見通し

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