水俣病問題が残した教訓は、大きな社会問題として歴史に残されたが、カナダではその認定さえもされないという。
情報の隠蔽、弱者の泣き寝入り問題など、日本では過去のこととなっているが、カナダでは今まさにその渦中だ。
情報隠ぺいの後遺症として、当時の詳細な記録が少ないとされるが、水俣病の教訓をもって国際協力できる余力はあるだろう。来日したカナダ先住民らの切なる願いに思いを寄せたい。

くまにちコム 2011年09月09日 から転載

水銀被害の実態訴え来日したカナダ先住民ら

カナダ・オンタリオ州で、パルプ工場の排水による水銀汚染を受けた先住民ら5人が9日、熊本市大江の熊本学園大で会見し、健康被害の実態などを訴えた。

1975年から現地調査を続けている原田正純医師が顧問を務める同大水俣学研究センター(花田昌宣センター長)が招いた。

現地では、居留する先住民の多くが汚染の影響を受けているが、政府が水銀中毒と認定するケースは少なく、補償額も30年近く据え置かれているという。

水銀中毒と認定されたジュディ・デ・シルバさん(49)は「13年前に産んだ娘にも震えなどの症状がある。水銀が胎児に与える影響について、日本で学びたい」と話した。

先住民代表のサイモン・フォビスターさん(55)は「カナダの神経科医は中毒かどうかの見極めが雑。原田先生のように丁寧に診察し、個人の歴史や生活ももっと参考にしてほしい」と訴えた。

一行は18日までの滞在中、水俣市を訪ね、水俣病患者とも交流する予定。現地在住の映画作家で、先住民とともに来熊した大類義[おおるいただし]さん(57)の作品「カナダ先住民と水俣病」の上映と講演会も10日午後1時半から熊本学園大で、11日午後2時からは水俣市もやい館で開かれる。無料。(石貫謹也)

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