鍛冶俊樹の軍事ジャーナル【8月24日号】を転載

ニセ憲法を廃棄せよ

「日本国憲法」は憲法と銘打ってあるが、憲法ではなく占領管理法である。憲法とは他国の干渉や支配を受けずに自律的に国を運営していく為の規則のようなものである。ところがこのニセ憲法には「軍隊を持つな」と書いてある。他国の干渉や支配を排除するためには軍隊は不可欠であり、それは米国の独立の歴史が証明している。ニセ憲法を日本に押し付けた米国人だって内心このことに気づいていた筈だ。

そもそも米国に占領されている1946年に日本が憲法を制定出来る訳はない。当時の米国には日本を独立させる意図はなく、必要なのは憲法ではなく占領管理法だった。

これは昨今のアフガニスタンの状況と対比すると分かりやすい。2001年に米軍は同国に攻め込み占領した。当時この国は無政府状態だったから、米国はまず暫定統治機構を作り議会を作り臨時政府を置いた。こうしたプロセスはイラクでもまた第2次世界大戦終了時のドイツでも同様なのだが、日本だけが事情が違っていた。

他国はすべて無条件降伏なのに対して日本だけは無条件降伏ではなくポツダム宣言受託による条件停戦だったのだ。米国は日本も無条件降伏したと喧伝したが、日本には戦前戦中の政府すなわち統治機構が存続しているという事実は揺るぎもしなかった。

だから米国は暫定統治機構を設置できなかった。仕方がないので帝国憲法の改正手続きを用いて占領管理法を実現したのである。

さてアフガニスタンからは米軍は撤収し始めた。「暫定統治機構が民主的な政府に生まれ変わり民主的な国家が実現したからだ」と米国は言い張るが、米軍がいなくなればその民主的な政府などという代物も一夜で吹っ飛んでしまう事は目に見えている。要するに米国は占領を続ける資金が底を突きアフガニスタンを放り出さざる得なくなったのだ。

イラクやアフガニスタンからの米軍の撤収は、その分アジア太平洋地域の米軍の増強に補填されるから日本の安全保障にとっては望ましいとする意見がある。当の米国もそう言う。しかし今回のリビア内戦にも米軍は地上部隊を派遣する気が無い。米国は財政赤字に関心が集中し米軍の海外展開に意欲や関心を持ち得なくなっている。だとすれば韓国や日本に米軍を駐留させる経費は支出の無駄と感じても無理はない。

アフガニスタンと日本は米軍の占領方式において違っていたが、結果として国防意識の極めて低い国になった点では同じである。米軍が撤収を終えた後、アフガニスタンは再び崩壊するであろうが、それは米軍撤退後の日本の運命でもある。

その運命を避けたければ国防意識の高い国になる他はなく、その為にはあのニセ憲法を一刻も早く廃棄処分にするしかない。

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