メルマガ「台湾の声」 を転載

来年の立法委員(国会議員)選挙に比例代表から候補者を擁立する台湾の野党・台湾団結連盟(台連)のパーティーが7月1日夜に開かれ、李登輝・元総統(元大統領)が出席したほか、民主進歩党(民進党)の総統選挙候補者である蔡英文主席も駆けつけた。

台連は、総統選挙では最大野党・民進党の蔡英文候補を支持し、同日行われる立法委員選挙については、小選挙区では民進党候補を支持するが、比例代表では台連への投票を呼びかけている。比例代表では、台連が5%以上の得票率を獲得すれば議席が得られる。台連の支持者らは「蔡英文当選!、李登輝 がんばれ!、台連 得票率5%を超えよう!」のスローガンを連呼した。

李登輝氏は6月30日に台湾検察当局に汚職と資金洗浄の疑いで起訴されたが、これは7月1日に李氏と蔡氏が台連の同席して「棄馬保台」(馬英九を棄て台湾を守る)をアピールして団結を強調するタイミングに合わせて仕掛けられたものだとみられている。また、7月1日の中国共産党創設90周年に合わせて中国のごきげんをとろうとしたという見方もある。

馬英九総統は、今回の李登輝氏起訴に関して「司法の独立を尊重する」との立場を示し、介入を否認している。台連の黄昆輝主席は、馬英九政権が指名した黄世銘・検察総長が6月8日~15日に訪中し、その2週間後に李登輝氏が起訴されていると指摘し、中国の意向を受けての起訴ではないかと疑問を呈している。

また、起訴によって李登輝元総統のイメージを落とすことで、李氏と蔡氏の分断をはかり、馬陣営(中国国民党)の選挙戦を有利に運ぼうとする意図が見え隠れするが、10年以上前の話を選挙半年前になって持ち出し、李氏を起訴したのは、選挙のためのわざとらしいネガティブキャンペーンで、台湾建国派への政治弾圧だと見る人も多く、「裁判所は国民党が開いている」、「次は蔡英文氏を起訴するつもりではないか」などと、台湾人の司法や馬政権への不信はますます広がりつつある。

李登輝氏は、今回の起訴に関して、先に特捜部の発表した文章を読むことを勧め、特捜部の指摘には証拠がなく、「3人で口裏を合わせた」などというのは検察官が勝手に考えたことだと反論した。

李登輝氏は、「絶対に打倒されない。台湾の主体性と民主の発展を守るため、これからも言うべきことは言い続ける。90歳の老人に死は怖くない。たとえ李登輝が死んでも、台湾人にはまだまだ数千、数万もの李登輝(の分身)がいて、台湾の民主のために戦う」と語気を強めた。

台連のパーティーで李登輝氏と同席し、李氏との団結を再確認した蔡英文氏は、「検察は中立であるべきで、事件を恣意的に選別してはならない」と検察の不透明な動きを批判した。

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