くまにちコム  2011年04月01日を転載

チッソ分社化で事業譲渡 JNCきょう営業開始

水俣病の原因企業チッソ(東京)は3月31日、水俣病特別措置法に基づく事業再編(分社化)で全ての事業、資産を100%子会社の「JNC株式会社」に譲渡した。患者補償や公的債務返済は引き続き親会社チッソが担い、事業部門に特化したJNCが1日から営業を開始する。

事業再編は、現在のチッソを持ち株会社となる親会社チッソとJNCに分離。チッソはJNCの全株式を所有し、配当を認定患者への補償や公的債務返済に充てる。

事業譲渡に伴い、総務、財務などの管理部門を除く全組織をJNCに移管し、従業員約810人のうち約700人が異動する。関連会社45社(うち連結対象33社)もJNC傘下となる。補償業務を担当する水俣本部(水俣市)の患者センター(3人)はチッソに残す。

チッソは当面、配当による補償・返済の枠組みを続けるが、将来的にJNCの株式売却益で一挙に完済する方針。特措法は、環境相の承認を得た上での株式売却を認めている。

一方、被害者の間には株式売却後に親会社チッソが清算され、原因者責任が消滅することへの懸念が根強い。(渡辺哲也)