国連大会の特派員報告、信仰弾圧問題を提起 中国代表団が怒り心頭
【大紀元日本10月27日】より
ニューヨークで閉会したばかりの第65回国連大会では、国連の宗教・信仰自由事務の特派員ハイナー・ビーリフェルド(Heiner Bielefeldt)氏が21日の会議で談話を発表、中国政府は小規模な宗教団体に不名誉なレッテルを貼り付けているとし、法輪功が中国で受けている宗教迫害について問題提起した。それに対し、中国代表団は直ちに反論に出た。ロイターやBBCなどの国際大手メディアは本件に注目し、関連報道では中国代表団の反応を「怒らせた」と形容した。
2010年8月1日から、国連の宗教・信仰自由問題の特派員に選任されたハイナー・ビーリフェルド氏。ドイツ出身で、同国人権研究機関の主任を務めていた(大紀元)
ドイツのエアランゲン=ニュルンベルク大学の人権と人権政治学の教授を務めるビーリフェルド国連特派員は21日の国連大会で人権問題について15分間の報告を行った。その中、同特派員は、中国政府による法輪功愛好者への「容認しない態度」や、組織的な迫害について指摘した。また、同特派員は、中国では法輪功などの社会的に弱い立場に立たされた信仰グループがよく「邪教」と定義されており、そのため社会的な差別を受けているとも報告し、時には「(国家政権)転覆を陰謀する」との口実で弾圧を受けると指摘した。
同国連特派員のこの報告に対し、中国政府代表団は直ちに反論に出た。その代表は、「すべての宗教は中国で調和、共存できている」とし、中国政府の論調を繰り返して法輪功は「邪教である」と強調、法輪功への根絶政策は正しいと発言した。
この種の報告は通常、特定の団体や個人の名前を挙げないため、今回、特派員が法輪功への迫害問題を単独で取り上げたのは、極めて異例である。ロイターやBBCなどの国際メディアもそれに注目して関連報道を出した。
今回の件について、法輪功弾圧問題に取り組む国際弁護団の代表、国際人権弁護士の朱婉琪氏は海外の中国語情報サイト「看中国」の取材を受けて見解を示した。
朱婉琪・人権弁護士は、「中国ではすべての宗教・信仰は政府の厳重な監視下に置かれており、弾圧を受けることもしばしばある。中国政府がうたっている『宗教の調和・共存』は実在しない」と指摘した。
さらに、同弁護士は法輪功への迫害について、「中国の現行の法律では、法輪功を邪教と定義する内容は盛り込まれていない。しかも、法輪功への弾圧の違法性を認め、愛好者に法的弁護を提供する人権弁護士は、当局の弾圧を受けながらも増え続けている。法輪功を邪教と定義することは、中国の憲法と刑法においても根拠がない」と批判した。
また、法輪功は中国のほ課世界114の国と地域に広がっており、いかなる国・地域でも合法的であり、中国政府が定義した「邪教」の要素は中国以外のどの国・地域でも確認されていないと同弁護士は説明し、「それどころか、これまでに国際社会から1600項目以上の褒賞を受けており、法輪功による社会への貢献を認めるものばかりである」と述べた。
法輪功(ファルンゴン)は法輪大法とも呼ばれ、気功によって健康を維持すると同時に、「真・善・忍」の原則を生活で実践して精神の向上を図る、中国の伝統的な身心鍛練法。1992年5月に創始者の李洪志氏によって伝えだされ、優れた健康維持効果で速やかに中国本土で広がった。1999年7月に中国当局に弾圧されるまで、愛好者は1億人に上ったと推定されている。法輪功の公式サイトは、11年間に及ぶ弾圧によって少なくとも3400人が拷問などで死亡、数十万人が投獄されていると発表している。