解決に向けて大きく進展しているものの、多くの人々の人生を奪った社会紛争は今なお継続中だ。
新たな訴訟検討 水俣病特措法の非該当者ら
水俣病不知火患者会(大石利生会長)が、水俣病特別措置法に基づく救済手続きで非該当とされた会員らを原告とする新たな訴訟を検討し、意見集約を進めていることが21日、分かった。
特措法に基づく救済申請は昨年7月末に締め切られている。同会によると、非該当と判定された会員の相談が相次いでおり、昨年11月に開いた拡大世話人会で提訴を目指す方針を決定。1月中旬から県内外の12会場で開いている地区集会で方針を説明し、会員の意見を聞いている。
非該当と判定された会員192人が熊本県などに異議を申し立てているが、国や熊本県は「判定は異議申し立ての対象となる行政処分に当たらない」との見解を示している。同会によると、異議申し立てをした会員を中心に、昨年末までに119人が提訴を希望したという。今後、会員らの医学的要件やメチル水銀の暴露状況を個別に検討し、提訴の意思を最終確認する。
提訴の手法は、国や県を相手にした損害賠償請求など複数案が考えられ検討を進める。同会は「提訴に踏み切るかは、本人たちの意向を尊重して最終決定する」としている。
同会は会員約7千人。うち2992人は2011年3月、国と熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた集団訴訟で和解。特措法による救済を求めている会員は約4千人。(辻尚宏)