くまにちコム 2012年01月23日 から転載
91%に水俣病の症状 不知火患者会が一斉検診
水俣病不知火患者会(大石利生会長)は22日、天草市や水俣市など県内外6会場で、396人を対象に水俣病の一斉検診を実施した。受診者のうち、この日集計した377人の91%に手足の先や全身性の感覚障害が認められ、水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済の症状の要件を満たしていると診断された。
今回の一斉検診は、同会などでつくる実行委が約千人に実施した2009年9月以来の規模。環境省による救済申請の締め切り時期の検討が大詰めを迎える中、いまだに多くの被害者が潜在する実態を訴える狙いがある。
検診は、医師団38人が天草市内2カ所と水俣市、鹿児島県出水市、岡山市、大阪市の病院や公民館で実施。手足のふるえや耳鳴りといった自覚症状を問診した後、筆や針を使い、手足や口周囲の感覚障害、視野狭窄[きょうさく]など5項目を検診した。同会によると、受診者は40~90代で、ほとんどが初受診だった。
検診後に水俣市で会見した医師団は「被害者の潜在があらためて明らかになった。申請を早期に締め切るべきではない」と強調。同市の協立クリニックの高岡滋院長は「受診者の9割に水俣病の症状があり、過去の一斉検診と同じ高い割合だったという事実は被害の実情を示している。救済申請方法も十分周知されているとは言えない」と語った。
不知火患者会は24、25の両日上京。天草や水俣の会員ら65人が国会議員や環境省などに実情を訴え、早期の申請締め切りに踏み切らないよう要請する。
同会は天草市や大阪市、川崎市などで2~3月にも一斉検診をする。(辻尚宏)
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